日本という自分の生国を、「一時帰国」として旅する体験は、年々、新味を帯びつつある。

それはどうも、その生国がスローペースながらも変わりつつあることと関連し、また当の本人も加齢につれ、その地の古えのものにかえって新鮮なものを見い出すようになってきていることも手伝っている。それに、意図して外国暮らしを続け、あえて身にまとってきている「無・帰属志向」があるのだが、それの一方で期せずに芽生えてきた、国や社会には限られない普遍土壌を掘り起こしたいとの気持ちも、別の角度からの照明を与えている。そういう地球的、ひいては宇宙的広がりも、その新味さにまつわるバックグラウンドとなっている。

そういう次第で、すでに観光気分での訪問には到底なれず、かと言って、旧知を温めたいとするのも時にお仕着せがましく、ましてや、今さら古き良き郷里心なぞにひたれるはずもなく、何やら“半外人”風のひとり旅が落ち付く格好となっている。

そこで今回は、愛車「バーディ(折り畳み自転車のブランド名)」をオーストラリアより持ち込み、渥美半島から志摩へと、初夏の日本の“地ずら”をペダル旅してみることにした。 詳細記事