ふと気が付いてみると、今度の北米大陸旅行は、先に書いた「《反歴史》《反事実》」といった姿勢に、知らず知らずに入り込むことなっていました。
というのは、日本人は歴史過程をつい単一構造で見てしまう習性があるようで、それがいったん旅に出ると、そんなものではない気配にさらされるからです。
今回の北米大陸旅行のうち、先のアメリカで発見したものは、グランドキャニオン地帯にある重層するキャニオン構造でした。
それにつづいて、このメキシコ旅行で発見しているものは、アメリカのそれとは対比をなして、歴史上のもろに重層する文明構造です。
私のように、訪問地の事情など不勉強のまま旅を続けていても、そこにしばらく滞在していると、その表層の背後に存在する、歴史や文明の地殻構造が感じられてきます。いわば文明の「グランドキャニオン」たるものが、そこここに歴然と存在しているのです。