可能な限り大胆に無頓着

〈連載「訳読‐2」解説〉グローバル・フィクション(その43)

本章には、そのタイトル「超人間力」のごとく、現実界では架空事と扱われるだろう数々のいわゆる「超能力」があげられています。それはテレパシーから、それこそ霞を食う仙人に至るまで、常識上では考慮の対象には含まれない能力であり世界です。

しかし、本章の議論のように、そうした広範な諸能力がそう一覧されていると、それらは総体として、単なる絵空事として片付けられるものではない、それなりの現実味を持った世界となってよみがえってきます。

私事ながら、私のように「逆算世代」となると、そのある種の一線を越えた先の世界も、あながちには、非現実的な世界と断言できないものとなってくるから不思議です。

また、そうした人生ステージ上の親近感や現実味とは別に、科学や生き方の新規な探求分野の一覧表としてこの章の議論に臨めば、それは新たなホライズン、あるいは意欲を掻き立てられるロマンの領域が展開されているとも言えます。

ともあれ、「エソテリック」な世界とは、そうした現実と非現実の間の線引きに、《可能な限り大胆に無頓着》であろうとする世界であります。

 

それでは、「超人間力」の章にご案内いたします。

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