第三章

子どもの見栄

 

子どもが自分の家庭内の貧困や不和を隠したがるのはなぜだろう?

暖房節約で寒すぎる部屋では、ぐっすり眠れない、防音も効かない壁からは、騒音が筒抜けで安眠できない。同居の大人はそれを訴えても何もしない。

何とバカな大人だろうと子どもは思うが、会話はとっくに諦めている。言っても無駄。ニコチン中毒のこの男とは会話が成り立たない。それは自分の経験から思い知っている。10年そこそこの人生経験だが、十分だ。言い返せば殴られるがオチ。痛い思いして成果も上がらぬことは、子どもでもしない。この大人は、威張りたいだけで人の親になったな、と、子どもは見抜いている。子どもの健康や幸せなどどうでもいいのだ。顔色や表情など更にどうでも。それどころか、悪いとなじる。子どもらしくない、よその子のように明るくない、素直でない。贅沢だ、等々。女親までがなじり倒す。よその家では子供が具合悪そうだったら、女親が気遣ってくれるという。無理して登校せず、休めとさえ言うらしい。うちではありえない。女親がどなる。「気持ちがたるんどるからや! 這(ほ)うてでも行け!」 詳細記事