一つの仮説を立てて考えてみます―――。この世は、丸々が真実による世界と、その全部が嘘っぱちからなる世界という、二極をもったスペクトラム世界であると仮定します。すると、実際の世界とは、その二極の中間に存在する、真実と嘘がそれぞれの濃淡をもって混じり合ったグラデーション状のものとなります。そこでですが、その実際世界のグラデーションも、昔は曲がりなりにも結構な真実味を含んだグラデーションだったと、今年77になる私なぞには思えます。しかし、それが最近では、グラデーションなどとは生ぬるい話で、もう嘘で塗り固めた世界が大手を振ってのし歩き、真実味などはとうに吹っ飛ばされ、やりたい放題を先にやったもの勝の「なんでもあり」式の、かつての無法時代の再来とも見えてくるほどです。かくして、今や私たちは、嘘に騙されない猜疑心は言わずもがな、暴力に巻き込まれないよう物心共に扉すら開けないと言った、もはや真実自体が、フィクション上でしかありえない架空物にさえせざるを得ない時代へと変貌してきています。
そうした時代においてのこの訳読シリーズですが、前回の「真実の封印」をはじめ、今回の「隠された人類の起源」という一見誇大なタイトルが示すように、それらはちょっと昔なら、いかにもセンセーション目当ての「強引な極論」かと敬遠されかねない議論だったかも知れません。
むろん私も、当初、同様な予断を否定できないながらも、ともあれ、内容を読んで見なければ何とも判断できないと、 試読を続けてきました。
そしてそうした試しもシリーズ三巻目となり、どうやらこのシリーズは、そうしたトンデモ本とか、いわゆる「陰謀論」とかと十把一絡げにされてはならない、少なくとも、世間を惑わす類の文書では毛頭ない、まさにその反対の極からの思索をめぐらす著作と判断されるべきものと受け止めています。
いうなれば、そこまでもの裏の裏に踏み込む眼力や調査力が、このシリーズには込められており、そしてそれが今の時代に望まれている仕事とさえ言えましょう。
そういう脈絡での今回の訳読のポイントは、すでに地球には宇宙人が住み着いていて “混血人間” すら存在し、私たち人類の起源も書き改められるべきとの議論です。
それは多くの人にとって、にわかには信じ難い、度肝を抜かされる話に違いありません。と言うことを逆に言えば、こうした言説とは、誰もがそこまでも徹底して耳目をふさがれてきたがゆえの現実を立証する「リトマス試験紙」とも評されるべき著作です。
ともあれ、もしあなたが知的好奇心旺盛なら関心を持たれるあろうこと請け合いな、「隠された人類の起源」へご案内いたします。
なお、今号は、上記の章に加えて、その次の章の「三つの選択」の訳読も済みましたので、ここに合わせて掲載いたします。