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意識は、私たちが誰であるかについての青写真に端をもつ知的力であり、究極的にはそれを特定の様式に顕現する。そうした人間の原像は、子宮の中の成熟した卵子のDNAらせんの内に微視的に収蔵されている。私たち各自は、自身の指紋のように、それぞれ独自の霊性DNAをもっている。それはアカシック・レコード〔あるいはアカシャ年代記〕とも呼ばれ、各自の過去の生命の総体を呼び起こすものとして知られている。私たちの霊性DNAは、現生への青写真なのである。それは、過去の霊魂たちのメモリー・バンクであり、現生への生れ代わりの目的を提供している。私たちの肉体や精神的特徴がその物的DNAに記録されているばかりでなく、私たちの霊性的方向や霊魂の目的がその霊性的DNAに記録されている。そのように、私たちの各々は、特定の霊性的目的を持っているが、その目的は時として不明瞭であるため、心は私たちに手品をして見せる。その良い例は、患者が病気に対し、ただの砂糖錠剤を服用するといっただまし療法を受けた場合でも、その病状の有意な改善が見られ、これは「にせ薬効果」として知られている。
医学は、心が身体に影響をおよぼすといった道筋を理解する、ほんの手始めにすぎない。たとえばこのにせ薬効果は、人々自身が、その治療が効果あると信じただけにより、たまたま、その症状や苦痛の改善が見られたことを示している。それはまた、いかに心が身体に手品をして見せるかを表している。興味深いのは、患者自身がにせ薬を服用していると知っている場合でも、そうした効果が生じることである。身体の治癒力とは、現代医学が行えるなにものよりも、はるかに顕著なのである。
科学者は、患者がいんちき薬による治療からの効果を得うるだけでなく、それが特に有用な成分含んでいないと告げられた場合ですらそうであることを発見してきている。そうし発見は、にせ薬効果は、あらかじめ考えられていたような、方便としての医者の何らかのだましの必要がなくとも効果をあらわすことを示している。マサチューセッツ州ボストンのベス・イスラエル・デアコネス・メディカル・センターのアンソニー・レンボはその著書でこう述べている。「私は患者に、にせ薬を飲みなさいとあけすけに求めることには困惑を感じてしまう。しかし驚くことに、その多くに効果があるようなのだ」。もちろん、にせ薬を用いることにことさらな副作用もない。こうした情報は、薬品業界――その製品がますます効かなくなっているらしい――にははるかに困ったことだろう。人間のDNA進化は、薬品がもはや有用ではないといったところまで達しうるということなのだろうか。
東洋のヨガ師の伝習では、霊性的伝承は、受伝者の霊性エネルギー――クンダリーニ〔kundalini〕――をシャクチ・パット〔shakuti-pat〕と呼ばれるエネルギーの移送をもって覚醒させることで、迅速に行われてきた。この「シャクチ」とは、サンスクリット語で純粋な神聖エネルギーを意味し、「パット」とは、そうしたエネルギーが来ること、あるいは、対象へ移入してゆくことを意味する。こうした「シャクチ・パット」の伝統において、師匠は、第三の目――受伝者の額の中心――に触れて、洞察やエネルギーの流入にくわえ、身体的伝達すらを開始する。ヒンズー教の教祖、スワミ・ムクタナンダは、彼の行う霊性教育としてシャクチ・パッドを与えることを常とした、もっとも著名なヨガ師の一人であった。彼の門弟たちには、様々な話が伝えられている。ある者たちは幻滅したと言い、彼らが体験した伝承は、何やら唐突なものであったという。また他の人たちは、緩慢なものであったともいう。一方、献身的となった者たちは、立ちどころの熱気やエネルギーや洞察、あるいは一時的な意識の喪失に度々陥ったとの報告をしている。またこれら以外に、人生観を微妙に変化させた効果を伴う、穏やかな高揚感があったと述べている。
エネルギー伝達の特定な様式によって、様々な方法で広く生物体にも効果をおよぼしうる。たとえば、その伝達は、植物の遺伝子に効果を与え、栄養価や生産高を増加させる。また、それによって、有害な微生物の毒性を弱めることができる。さらにエネルギー伝達は、HIV〔エイズ〕やB型あるいはC型肝炎にかかった患者へのビースル負荷を弱めることができる。さらには、原子の質量や大きさを変えることで、その沸点や溶解点に影響を与える。こうした影響を与えられた植物や分子は、事象の選択があったようには見えないが、それでも影響は受けている。こうした計測可能な物的効果は、以下のような提唱をもたらす。すなわち、信念にもとずく〔一種の〕儀式による効果が経験的にありえる。
現在も継続中の研究によれば、何らかの実感しうることは、人が祝福やエネルギー伝達、あるいは霊性的世界への儀式的導きを得た時に伝えられることを示唆している。また、受伝者につたわることは、言葉や対話を介してやり取りされるだけでなく、教師の体内での物的変化によることもあるようである。すなわち、世代間を通して受継がれることは〔言葉や対話を介した〕教えや形式であるが、直接の血統を通じて受継がれるものは、そうした教えの霊性DNAとも言うべきものである。それは、血液や遺伝子を通して引継がれるものであろう。霊性DNAに暗号化されたものは、言語ではやり取りできない知識の源泉というべきものであり、継承された代々の師匠がその血統を介して実体化されたものである。こうしたレベルの知識のために、私たちは「ミーム」〔訳注〕――個人や文化や霊性の基礎となる知識で「ビールス性」を持つと考えられる――という用語を使うことができる。
〔訳注〕人々の脳から脳へとコピーされる情報であり、また社会・文化を形成する様々な情報として分析される。言い換えれば、習慣や技能、知識、物語といった人から人へコピーされる様々な情報である(ウィキペディアより)。
心の覚醒状態は、新たな覚醒した世界に不可欠な教唆をもって私たちを導くもので、今日の多くの伝統が果たす使命の内に見出すことができる。それは確かに、世界の神話や神聖なしきたりのすべてが持つ根本概念の骨格をなす。様々な伝統は、高度に進化した人類を、銀河や他の星雲系に居住することすら教えている。そうした考えを創作したのは私たちの祖先である。こうした伝統の多くは、アインシュタインが言う「新たな人類」が、自らの限界を超越することに成功し、かつ宇宙の次元の階段を銀河の中心へと導き登り詰めることを解き明かしている。そうした新人類は光に変化あるいは「変態」した存在であると同時に、肉体の存在でもあり続ける。こうした先進人類の老若男女は、自由な心身に輝く衣類をまとう状態に達している。彼らは私たちに、その水準へと霊性的に進化するようにそのモデルとなる「新たな人類」である。
身体のエネルギーは、チャクラとよばれる体系でとらえることができる。様々な説明が可能なチャクラは、身体内部で回る渦巻きの輪として表現される。それは、回転し、渦巻き、曲がり、捻じれ、交差し、そして目覚ましい美のパターンとして自らを波打たせる。伝統をほこるヒンズー教や仏教では、チャクラとは「輪」を意味している。東洋では、この輪をなす渦巻きは、「チベット・エネルギーの輪」とも呼ばれる。ヨガの伝承では、それは、七つのチャクラを包み込むように七回交差する曲線によって象徴的に表される。西洋では、人のエネルギーはカデューシアス〔神々の使者のつえ〕に見出される。すなわち、一本の棒にからんだヘビ――これもまた七回交差している――で、最初、神の使者で、後に錬金術や近代医学のシンボルとして用いられるようになった、ギリシャ神話のヘルメスに関係するものであった。
チャクラは、目に見えぬ糸のように働き、あらゆるエネルギー・システムを一体的に機能させる。その体系はまた、思考、情緒、感じ、信条、態度、さらに身体的、生物的形態の各分野の源となる。それはまた、燃え盛る生命システムで、たえず新たな交差を繰り返し、つねに拡大し縮小している。DNAの二重らせんも、同様の構造の微小世界版である。
身体内のチャクラ・エネルギーの七つの点は、七つの霊性の中心点であると考えられる。人間の目には見えないものの、チャクラはエーテル・エネルギーを見ることのできる人には可視的である。有名な心霊家エドガー・ケイスによると、チャクラは特定の内分泌腺と結びついている。エドガー・ケイスの心霊術は、宇宙意識の結果による松果腺システム内のクンダリーニの活性化によるものであるとされている。言い換えれば、ケイスは明らかに、各々の施術の際に、クンダリーニ体験をしているのである。ケイスはチャクラの諸中心を内分泌腺と相互関連させて、強力なホルモン情報を血液に直接分泌させ、全身の各部分に影響をおよぼさせている。私たちの身体内のこうしたエネルギー点は、エネルギーを受信、伝達し、その各々は主要内分泌腺や身体内のプレクサスと呼ばれる神経網状組織として存在している。それぞれのチャクラは、身体の異なった部分と結ばれ、関連付られている。それぞれの七つのチャクラは色をもち、また、エネルギー・ヒーリングの施術の際には、異なった宝石や結晶とこれらのチャクラが相互関連している。私たちのチャクラを理解し活用することは、身体的、情緒的、霊性的健康を向上させるもので、さらに、私たちの人生の完遂に必要な〔霊性の〕現実化を助ける。ここに再び、次元移動への意志を導く、霊性的覚醒のもうひとつの姿と現れがあると言える。
存在するあらゆるものは、各原子から宇宙の膨大さにいたるまで、それぞれに連結し合う自然の振動をもっている。人間がもつ共鳴をなす振動数は、ギターの弦と似ており、振動をつうじて別の音を作り出している。同様に、私たちの七つのチャクラも各々に異なった振動をもっている。インドの伝統医学によれば、そうした振動はあらゆる生き物の身体の敏感な皮膚に存在していると信じられている。そしてそれがバランス状態にあれば、チャクラは人の身体や心や霊性を調和することができる。またそれが乱れると、病気や精神疾患、そして意識レベルの低下の原因となる。
チャクラの中心的役割は、クンダリーニを向上させ、それぞれの中心を貫通し、自己認識を多面的レベルへと導く。これが、「シデヒス(siddhis)」――人間の特別の技能や能力の起動の意――に点火する。こうして起動された私たちのシデヒスは、絶えず上昇して頭の頂点に達し、超自然性との一体化をなしとげる。クンダリーニを向上させる方法は、通常、インドの神秘流派のうちに秘密にされてきた。西洋では、チャクラの活性化は、「オカルト・パワー」とみなされてきた。「クンダリーニ・シャクチ」は、私たちの脊髄の下端にコイル状で存在するエネルギーである。一度クンダリーニ・シャクチ――ヘビのエネルギーとして知られる――が、「ディクシャ」あるいは方向づけを獲得すると、それは私たちの脊髄の下端から上方へと流れはじめ、そこで脳がそのエネルギーを完ぺきに変換して必須ホルモンとより高い霊性エネルギーへと変える。いったんすべてのクンダリーニが覚醒に達すると、その性器部から脊髄を通じて脳への回路が完成する。この体験の間、私たちの身体の七つのすべてのチャクラ・エネルギー点は、突破口を開くとしうクライマックスを迎える。このクライマックスの後、人は知恵と強さを伴うより大きな知性を得る。多くの体験者にとって、これは、人が悟りを開くにいたる科学的描写となっていると言えよう。
チャクラとは、「パラナ」――生物理学的エネルギー界の意――が全身から放出される連鎖現象である。パラナは敏感な身体と私たちのエネルギー界の基本構造であり、チャクラ体系全体をつうじて放出される。パラナとチャクラの双方についての知識は、健康で長寿な人生を送る重要なカギである。この知識はまた、宇宙のエネルギーの根源への洞察を提供してくれる。しかし、何事もそうだが、チャクラにおいても、その悪用や脱線は、人々に誤った効果をおよぼす。
チャクラは、往々にしてその連携をうしない、体内のエネルギーを消してしまう。これは、不健康な生活、貧しい食習慣、ストレス、あるいは、あらゆる種類のマイナスのエネルギーを原因としている。落ち着いた瞑想は、そうしたチャクラを再連携させ、体にエネルギーを再生させる。私たちがついに死にいたると、私たちのパラナは、肉体的身体から抜け出て、そして私たちの霊性は、純粋なエネルギー圏へと入ってゆく。仏教の考え方では、人の霊性は、その霊魂が新たな体に生まれ変わる前に、49日間、「此岸」にとどまっていると信じられている。
ジョージ・カバシラスはその著書に、人間のチャクラと異星人への移植との間の接点についてこう書いている。彼は、チャクラを〔そうした移植で〕全面的に機能させるには難しいと指摘している。その一例として、チャクラは、私たちの中心部やエネルギー圏から取り出せるエネルギー量には限りをもっているからである。チャクラは、他者が「暗号」を付し私たちのエネルギーを流出させるのを容易にするため、私たちの基幹要素のエネルギーを分離し区分けしている。加えて彼は、チャクラは、特定のエネルギーが容易にアクセス可能なように移植でき、これにより、私たちのエネルギー圏の支配と操作を可能にしているとも述べている。だがそれが悪用された時には、チャクラはエネルギーをせき止めるよう働き、身体の障害や心理的病気の原因ともなりうる。チャクラはまた、私たちの身体のエネルギー圏を区分けしており、外部、すなわち不用意な人間を誘拐する悪意のETによる操作を容易にしているとカバシラスは言う。
エネルギーの研究者は、どの成人した人間も、時に、エーテル圏とよばれるエネルギーの「力圏」によって取り囲まれていることに注目している。それは、私たちの身体を中心に、およそ45センチメートルの半径を持っている。しかし、もし、強い感情によって勢い付くと、体から6ないし9メートルの半径にも達する。これは、人がある人に気付く以前であっても、道路を隔てて他人の感情状態を無為意識にも感知できることがどのように起こるかを説明している。このエーテル圏とは、私たちの感情や、私たちの心の状態、そしてもちろん、私たちの考えについて全部の情報のことである。私たちが他人の前を通り過ぎた時、エネルギーの自動的かつ無意識の交換が行われる。それは通常、うねる波動であるが、ジグザグ状あるいはノコギリの波状の波にもなりうる。エーテル・エネルギーは、渦巻きが続く際の最小の抵抗しかないため、渦巻き状を維持する。それは、物質――エーテル・エネルギーが物体化したもの――もまた同じ低抵抗のドーナツ状運動を求めることにも通じている。水や空気はともに、この本源的渦巻き運動を持っている。
人間のオーラは、個人特有の多くの「固有振動数」からなる音響的スペクトルである。これは、人間の身体の特定の部分――たとえばチャクラ――が持つ特定の色について、古代東洋の知識における関係を説明している。しかし、オーラを持つのは人間のみではない。命あるものはみなその周囲にオーラをもっており、それは特定の条件とふさわしい訓練によってのみ観察できる。
人間の身体は、全体として、エーテル振動数の幅広いスペクトルに共鳴する。もし、人間が健康ならば、そうした振動数は互いに完ぺきな共鳴をつくりだす。各自はまた、各自の覚醒度、感情、情緒、感じ、栄養、健康、その他の要素に応じたエーテル「速度」を持っている。トーラス・エネルギーの流れと同じく、人間のエネルギーの流れも、早い共振から遅い共振へと流れる。それは上方とか反対の方向に流れることはできない。もし、遅い人が早い人と共振すると、そのエネルギーは一段あるいは二段上昇するが、通常、それが長く保たれることはなく、互いに通り過ぎるといった偶然から得られるものでもない。これはなぜ、恐れが波及効果をもつとか、なぜ、考えや感じが他人へと伝染するかを説明している。そしてまた、繊細な人が人ごみの中を歩くと疲れを感じるのはなぜなのかを説明している。つまり、そうした場では、その人は他者より多量のエネルギーを吸い出されているのである。私たちの霊性、身体、そして心の真の性質を理解することをもって、今や、私たちの霊魂の世界への旅を始めることが可能となっている。
【本章終了】
参考文献
Laszlo, Ervin, Science and the Akashic Field: An Integral Theory of Everything. Inner
Traditions; 2nd edition, 2007.
Jodorowski, Alejandro, The Spiritual Journey of Alejandro Jodorowski. Park Street
Press; 2008.
Kavassilas, George, Our Universal Journey. Our Journey Home Pty Ltd, 2012.
Praying over seeds makes them grow faster than no-prayed over seeds:
http://media.noetic.org//uploads/files/DirectedPrayer.pdf
Healing cures:
http://www.fourmilab.ch/documents/gtpp/Documents/jse_14_3_bengston.pdf
People with regular spiritual practices live longer:
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1305900/
Intentions create bio-fields: http://www.item-
bioenergy.com/infocenter/ConsciousIntentiononDNA.pdf
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Modern Esoteric: Beyond Our Senses, by Brad Olsen
http://cccpublishing.com/ModernEsoteric www.bradolsen.com
with permission, (c) Brad Olsen, 2015