宇宙条約:地球人の失敗

〈連載「訳読‐2」解説〉グローバル・フィクション(その32)

まず、本章の結論から先に触れると、次章である「空間と時間〔未訳読〕に、この章で述べられる「地球人の失敗」に関する疑問を解く鍵があるとなります。

つまり、本章の主旨は、ETとの宇宙条約交渉――これが真実でかつ公表されるなら、世界の耳目をさらう《歴史的出来事》のはず――で地球人は失敗しており、事実上、地球は乗っ取られたのも同然である、という視点です。そこでですが、その背景には深い理由があって、それが、次章で述べられているというのです。むろん、地球人はその事情を理解しきれていないでしょう。だからこその、その失敗なのです。

次章の議論は次回に譲るとして、本章では、地球人は、そうした宇宙的事実を理解しえていないがゆえに、その交渉に失敗し、それがゆえに現在、地球は《袋小路》に追い込まれて行っていると述べています。

また、「袋小路」と言えば、別に本書を訳読するまでもなく、最近のこの地球上のいたるところで発生している深刻な出来事を見るにつけ、まさにこの地球は、どん詰まりへの道にはまり込んで行っているように見受けられます。(日本の福島以後を見るにつけ、原発がなぜゆえにそうも非合理かつ強権的に固執されるのかの一理由も、そこに発見できます。)

そして、その舞台は、片や地球、片や宇宙と異なるものの、共有・共存すべき“当事者同士”が、それを覚ることなく“反目”しあう――或いはそういう“分断”へと誘導されている――シーンは、今日、文字通りにいたるところで目の当たりにしている《現実事》です。

それだけに、そこにこの宇宙的理由があるという議論は、目を見開かされるどころか、地球人同士のそんな些事に捕らわれている場合ではないとの思いを深くするところです。

それでは、本章の訳読にご案内いたします。

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