私にとって、山登りは、自分の心身ともの成長の、自然な教師役を果たしてくれていたようです。子供のころ、小学三年生までは病気がちで、医者通いが欠かせませんでした。それがしだいに健康となってくるに伴い、体を動かすことの味を覚えてゆきました。当時、神戸に住んでいたため、放課後には、仲良しの友と連れ立って、毎日のように、市街の裏山に登るようになりました。するとどうでしょう。それまで、細々としていた自分の足に、筋肉らしきものが付き始めているのに気付きました。それからです。メキメキと山歩きに自信をつけて、やがては、家族を案内して、日曜ピクニックを率いるようになってゆきました。
そんな私が喜寿に達し、その成長時代とは逆に、体力に自信を無くしがちな時期に至ってはいますが、やはり、山への思いはなぜか衰えてはいません。
この十月、日本に帰国し、二度の山歩きを楽しむ予定です。ひとつは、秩父の武甲山から東京の最高峰、雲取山への縦走です。この山行きには、この春、エベレスト登頂を果たした若き友人がガイドを務めてくれます。第二は、大学以来の旧友とともに、彼の故郷、松本の山々を訪ねます。穂高連峰の前衛峰、蝶ヶ岳をめぐる山行きです。
そこでこの居酒屋談では、ライブ報告風に、月二回の通常掲載を変則的にして、その都度のエピソードをお話しして行こうと思います。ご期待を。
【月二回の号数建ては変更せず、その都度、前記事に追加する形で掲載してゆきます。適時のチェックをお願いします。】
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