歴史再考(その3)

〈訳読‐2b〉現代の「東西融合〈涅槃〉思想」(その23)

 

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【新版(Second Edition)に基づく】

 

 

歴史再考(その3)

 

 

聖書の提起

その他の、現代までも広く普及している教典は聖書で、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の3つの主要な世界的宗教による聖なる本とされている。多くの敬虔な信者はそれを創造主の神ヤハウェ――あるいは幾つかの別名――から直じきに書かれた真実とみなしている。 その外の人たちは聖書を大切に扱うものの、それは人間によって書かれたものであり、それゆえ、複雑でしばしば矛盾する内容がある文献であるとしている。現代の学者は、ヘブライ語の聖書すなわちタナフは、多くのより古い伝承に基づいて、紀元前千年から4百年の間の4人または5人の書き手によって編纂されたものとしている。新訳聖書は、西暦60年〜110年に、様々な書き手によって作成された。新約聖書の内容は、367年にアレクサンドリアのアタナシウスによって公式化され、最終的には、382年に正式に認可された。聖書の順序や構成には、様々な宗教と宗派の間で多くの異論があり、その中のいくつかは本義的に教義上にかかわるものとなっている。

ユダヤ人によって書かれた創世記の物語は、「天使」や「神の息子」と地球の女性たちとの交接と彼らの子供が生まれたことについて描写している。創世記の物語は、また、ヤハウェが私たちの人間の身体を120年以上生きるように創ったが、その当時、地球上の人間の体はその半分の期間しか生きなかった。ネフィリムは、聖書の中では巨人と呼ばれていたノアの大洪水以前の人種だった。創世記6:4はこう延べている。「当時そしてその後も、ネフィリムは地球上にあったが、その時は、神の息子が人間の娘たちのところに行き、彼らに子供を生ませたころであった。彼らはかつての英雄で名声の人たちだった」。ネフィリムは巨人種で、神の息子たち、おそらく堕落した天使と人間の娘との性的結合によって作られた者だった。ヘブライ語の文章から翻訳では、ネフィリムは 「堕落した人」を意味する。彼らはその強さ、豪勇さ、そして罪深さのための大きな能力で、有名であった。

ネフィリムの邪悪はそれによる大きな犠牲を伴った。創世記6:5は、ネフィリムが人間と自分たちの間で引き起こした腐敗を、「彼らの邪悪が地球に起こしたことがいかに大きかったかを神は見た」と示唆している。彼らの邪悪な反乱は、神の怒りと悲しみを招いた。聖書によれば、神は天使ガブリエルにネフィリム間の内戦をおこすよう指示した。彼はまた正義の人であるエノクを選び、堕落した天使たちに、彼らとその子供たちに発せれた判決を知らせさせた。彼らは目を天に向けることができなかったので、神はその堕落した天使に平穏を許さず、後に鎖でつないだ。ネフィリムの終わりは、ガブリエルによって誘発された戦争に伴って起こり、その中で、その巨人たちはお互いに、目ざましい武器と飛行機械を用いて壮大な戦いをいく度も行い、最終的に全滅した。

旧約聖書はエゼキエルという名の人の物語――宇宙船か航空機の着陸と表現しうるものを目撃――を報告している。その目撃は、メソポタミア北部のチェバー川の近くで起こった。チャルデアは現在のイラクの国である。エゼキエルのその航空機の「技術的な」記述では古語を使用しているが、にもかかわらず、大洪水以前の円盤や偵察機の正確な記述である。それはヒマラヤ山脈の山麓地帯の人々によるヴィマーナの目撃に似ている。

 

ソロモンの寺院

いくつかのエソテリックな社会の神霊的な中心として、エルサレムの神殿の丘の頂上――3つの偉大な一神教宗教の信者によりいまだに崇拝されている場所――に、ソロモン神殿が建てられた。 真の信者はそれがレイラインに沿った人と神の出会い点に位置し、また、自然の源泉であると主張する。おそらくソロモン王により古代イスラエルの勢力のピーク時に建設されたと思われるソロモン神殿では、神聖なものの中でも最も神聖である黄金の「契約の箱」が、聖職者が神と直接対話する神聖な部屋に納められていたと言われていた。その寺院が破壊された数世紀後、その神殿の丘は中東十字軍時代のテンプル騎士団の本部として使われた。それ以来、テンプル騎士団が神殿の丘の下から掘り出した秘密について、無数の伝説が何世紀にも渡って伝えられている。

テンプル騎士団は、その本部をソロモン神殿そのものに設置した。彼らが最も望んだものは、古代の巻物――銅に刻まれていると称されている――であったと言われており、最終的には現在の〔ママ〕エルサレム王によって取得された。その神殿の真下の秘密の金庫を発掘するために隠れて作業し、彼らはそこにあると確信していたその偉大な隠された宝物を獲得した。この宝物が、明白に彼らがエルサレムにいる真実の理由であった。その宝物の一部は実物の金や宝石であったかもしれないが、テンプル騎士団が富を彗星のごとくに増加させた理由を説明するのに役立つであろう。テンプル騎士団は、業績を上げたことで知られている。しかし、その中でも最大の宝物は、もし獲得していたならば、その神聖な銅の巻物で、それはイエスと聖書の秘密についての古代のエソテリックな知識を秘めていただろう。

テンプル騎士団が引き出そうと懸命に働いた秘密の知識とは何であったのだろうか。多くの研究者は、それを一言でいえば「啓蒙」であったと言うだろう。だが、それは単に心理的変容、あるいは、キリストの復活の際に見られたように、肉体、血液、および骨が聖人の体に変化した化体説のことではない。むしろ、その巻物に主に記述されていることは、「聖書の原則に基づく人の道に戻る方法」であり、それは人が推測するように、「真実」を維持するためのゾロアスターの取り組みの別バージョンであったかもしれない。これは、イルミナティ――王位についた師範として知られる――として描写されているような、エソテリックな伝統の喪失の始まりから起こっていたのかも知れない。(以下で説明するように、その結果、イルミナティという用語の現在の使用は、その初めの意味の誤用や癒着した使用である。)

その巻物が秘密めいて入手されたのと同じく、その消失も謎めいていた。スコットランドのエジンバラ近郊のロスリン教会の床の下に隠されていた秘密の金庫に、テンプル騎士団によっていったん所有されていた長期に行方不明であった遺物の一部が保存されていたことを示唆する証拠がある。結局のところ、ロスリン教会の床の形は、古代ソロモン神殿のそれの複製であった。シンクレア伯爵の配下のロスリン城とその周囲は、1307年フランスで、フィリップ王四世がテンプル騎士団を無惨に弾圧してその残党を隠れるか追放させた時、逃亡に成功したテンプル騎士団の本部になった場所であると言われている。

 

貧しきテンプル騎士団

一般には「テンプル騎士団」として知られている「キリストとソロモン神殿の貧しき戦友たち」は、西洋キリスト教の軍隊的禁欲的修道会であったことで極め有名である。この組織は、中世にほぼ2世紀にわたって存在していた。それは、1096年の第一次十字軍の残した波紋のもとに設立され、征服後にエルサレムに巡礼した多くのヨーロッパ人の安全に貢献することとなった。

テンプル騎士団は、ヨハネ人より得た霊感、ユダヤ人から受け取ったカバラ〔密教的神知学〕、スーフィー教から吸収した錬金術の伝統、そしておそらく銅の巻物に由来する情報を統合させて、聖杯礼儀学校を創設した。テンプル騎士団学校の密教的な神秘性は、聖杯の伝説に組み込まれており、その最高のものは中世の騎士ウォルフラム・フォン・エッシェンバッハによって書かれたパルセバルである。その物語は、解脱したフィッシャー王へと成長していく、ハルセバルの旅を描いたものである。彼に伴ったガイドは、錬金術的クンダリーニ〔潜在的エネルギー〕が人格化したクンドリーであった。

修道僧としてのテンプル騎士団の貧困状態は、だが、さほど長くは続かなかった。彼らには、教会指導者で創設者の一騎士の甥である強力な提唱者、クレルヴォーのベルナール〔1091-1153、フランスの聖職者・神秘思想家〕が着いていた。彼は一同に代わって説得力をもって話しかつ執筆し、そして1129年、トロイの評議会で、同騎士団はカトリック教会による公式の承認をえた。この公式な天恵により、テンプル騎士団はヨーロッパ中に受け入れられる慈善団体となり、資金、農地、事業、資産を受け取り、聖地を守るための戦いを助けることに熱心な家族の誉れある息子となった。さらにもうひとつの大きな進展は、1139年、法王イノセント二世の大勅書が同騎士団を地方の税負担から免除した時である。この決定は、同騎士団がどこの国境をも、いかなる税の支払いを求められずに、自由に通過できることを意味した。彼らは法王以外には、他の権限の対象にはされなくなった。 1150年までには、騎士団の巡礼者を守るという当初の使命は、革新的な方法――信用状発行、秘密の暗号文技法、旅行者を保護するための保証資産――によって彼らの富裕者たちを守る使命に変っていった。かくして、いろいろな方途で、騎士団は現代の銀行業の初期の先駆けとなった。

寄付、盗んだ宝物、したたかなビジネス取引を混合して、テンプル騎士団はキリスト教世界全体に広大な金融ネットワークを確立した。騎士団の新メンバーについても、その禁欲的友誼関係において、貧困の誓い、忠誠の宣誓、そして彼らのすべての所有物をその新家族に譲渡することが求められた。それには、土地、馬その他の物的資産のほか、農奴の労働、およびあらゆる事業の利益を含んでいた。騎士団は、ヨーロッパと中東の広大な土地や地中海の島々を取得した。彼らは農場やブドウ畑を買い、経営し、城や教会を建て、さらに製造、輸出入にも携わり、貴金属を交易し、自らの船団も所有した。ある時期には、彼らはキプロス島全体をも所有していた。どの尺度で言っても、騎士団の組織は、世界初の多国籍企業として認定されるものであった。

この強大な権力への成長は、最も強力な権力を脅かす結果をまねいた。テンプル騎士団の組織は、1307年、フランスのフィリップ4世――騎士団に大きな負債を持っていた――によってを暴力的に解散させられた。彼は、クレマンV教皇に騎士団のメンバーを非難するよう圧力をかけ、同メンバーは逮捕され、拷問を受けて虚偽の告白をし、その借金を棒引きにさせかつ彼らの富を奪うために、彼らの多くを火あぶりにした。13日の金曜日の縁起は、騎士団が妨害され、裏切られ、最終的に破壊された、1307年10月のその日に関連している。

 

不滅の銀行家

新たに建国されたスイス〔1291〕に逃れたテンプル騎士団の一団は、そこで彼らの国際的な銀行システムを作り変え、莫大な資産を持つその末裔は、今日までも世界の経済を秘密裏に支配している。つまるところ、スイスの銀行業は、顧客の資産と情報の安定性、秘密、および保護を特徴としている。同国は、中世以来の、銀行の秘密の長い伝統を持っている。スイスの銀行の秘密の口座に入れられなかったテンプル騎士団の金(ソロモン王の時代までさかのぼる金も含め)やその外の財宝は、南フランスのラングドック周辺に隠されたと思われる。いくつかの報告によれば、その一部は、ナチスが秘密発掘により回収した模様で、戦争の終結にあたって、それはできる限りアルゼンチンに運ばれたと記されている。他のナチスの金は連合国によって押収され、連邦準備銀行に預けられた。その二度にわたって奪われてきた金は、最終的には、戦後のCIAの「帳簿外」の運転資金の基礎となった。

数世紀後〔18世紀〕バイエルン・イルミナティ秘密結社が設立され、国際的銀行家と伴に隠れた影響力の発揮を続けた。秘密の知識を所有しているという意味で 「エソテリック」ではあるものの、先述のように、これは堕落であり、啓蒙された個人や高揚した師といった本来の意味からはその逆をゆく、イルミナティの名称の盗用であった。そうした銀行は、武器調達や国家間の戦争をひそかに促進しそれを資金立てした。ナチの金を盗もうとするバチカンとスイスの銀行の結託は、西洋諸国の投資家とも結びついていた。現代史におけるその恰好な実例は、文書でも明示されているように、第二次世界大戦における、戦前のユニオン・バンキング(UBC)の頭取プレスコット・ブッシュとジョージ・ブッシュ大統領とその息子の一族による第3帝国への融資である。1941年、米国がドイツとの戦争を布告した後、UBCの資産は戦争の間、米国政府によって差し押さえられ、その後、返還され、1951年に同銀行は解体された。ブッシュ大統領はUBCの取締役の一人であり、同社の1株を保有していた。これに対し、彼には150万ドルが払い戻された。これらの資産が後に、テキサス州のエネルギー産業へのブッシュ家族の投資に使用された。ナチス政権への資金提供に関わるスイスの銀行と米国政府との共謀は、第二次世界大戦の終わりには設立していたのであった。

戦争は、恐怖に基づく国民の支配を通じた内的メカニズムであることを知っておくことが重要である。戦争――国際的銀行が資金を提供し、冷血な大虐殺や悲劇をおこす――の目的は、人間は地球上の霊性的存在であるというその本源からそらし、かつ、人間同士のコミュニケーションと協力の共有を阻害することで、戦争を継続させ、投獄し、可能な繁栄と啓発をさせないためである。イルミナティは、西洋社会を少なくとも最後の二世紀は操作してきており、そしておそらく、異なった名前のもとで、もっと長くそれを続けてゆくだろう。

 

エソテリックなアメリカ

ほとんどの人たちは、フリーメーソンのような秘密結社がどれほどに世界の背後でパワーとコントロールを駆使しているかを知らない。アメリカは、その建国当初から、代替精神革命の場として登場し、やがて世界を席巻した。現代のエソテリックの哲学や立役者――フリーメーソンから神秘派あるいはH. P. ブラバツキー夫人からエドガー・ケイシーへいたる――は、アメリカの文化、政治、宗教を劇的に置き換えてきた。また、私たちの国民的アイデンティティの神秘的、形而上学的なルーツは、しばしば無視されたり、見落とされれいる。例えば、この国の超越主義の創始者のベンジャミン・フランクリンやトーマス・ジェファーソンなどといった人たちは、理神論――「運命顕示説」の母体――の信奉に影響された。この運命顕示説は、新たな国を築くための正しく神聖な計画であり、時に文化の破壊にもかかわらず、エマーソンやソローが述べるように、ユートピア的な理想主義であった。

フランシス・ドレイク卿〔伝説のトレジャーハンター〕は、後に米国やカナダとなった多くの元英国直轄植民地の土地、たとえば、西海岸、太平洋岸北西部、東海岸全体、さらには、〔カナダの〕ノバスコシア州の神秘的なオーク島を、テンプル騎士団、ヘンリー・シンクレア王子あるいは彼自身が財宝や他の工芸品を埋めた場所であると主張した。インカの金がスペインのガレオン船によって奪取され、後にフランシス・ドレイク卿により海賊行為されたという噂は、今日でも、ノバスコシア州沖の小さなオーク島でささやかれ続けている。そうした地域の隠れた宝物の話は、失われた「財宝の穴倉」を探し求める多くの冒険家たちを駆り立てている。

ドレイクの数十年後、フランシス・ベーコン卿〔イギリスの哲学者、神学者、法学者〕は、新発見された大陸という「処女地」を、彼の神秘的哲学を実践する完璧な場所としてみるべきだと述べた。彼の作品『ニュー・アトランティス』は、1626年の死去の少し前に発表され、善意王国のユートピアを描いた。 そうした主題に関わる多くの学者によると、ベーコンは彼のアイデアを北米大陸で実施する予定であった。 1606年、彼はバージニア・カンパニーの憲章を起草し、それは後に、東海岸のジェームズタウン居留地や、ヴァージニアの植民地開発に適用された。このように、ベーコン個人は、新大陸北部で恒久的に成功した最初の白人植民地に非常に大きな足跡を残したのであり、そこから米国は国としての成長を始めたのであった。

多くの歴史家は、ベーコンや、ドレイク、ウォルター・ローリー、ジョン・ディーなどといったエリザベス朝時代の有力者の若い頃、いずれも、その「誰にも属さない」新大陸に、古代の伝統を植え付けようとの秘密の使命と構想を抱いていた。この使命は、その象徴主義や神秘的思想の性質上、「薔薇十字」的であると言われている。ということは、聖杯の探究者たちにとって、非常に興味深い結びつきである。というのは、現代の中世の薔薇十字会の創設者はジーン・ド・ギゾーであると言われており、また、今では有名なシオン修道院の創設者――「聖杯の守護者」――であるとも多くから信じられている。

この主題について行われたおびただしい研究は、「何からの」エソテリックな教義が、後にアメリカ合衆国となる英国植民地の基盤となっている可能性が極めて高いことを疑いなく示している。 ベーコンの哲学と同様な教義上の証拠に加わるこの見解は、フリーメーソンの信じられないほどの富がなした膨大な支配力と合わせ、現在のワシントンDCや他の主要地の建築物に見られるエソテリックな象徴を、ともに注目させることとなる。

 

フリーメーソンの関わり

フリーメーソンの秘密は、 著名な不満植民者をイギリスの専制政治に対して共謀するよう集めることができたことである。こうした不満グループは、フリーメーソンとして集まり、ついには、米国という新しい独立国を設立した。この重要なアメリカの歴史に触れる歴史書はほとんどない。1776年の独立時に、フリーメイソンは非常に尊重された。独立宣言に署名した55人の代表者のうち、5人の未署名者とともに9人がフリーメイソンと確認された。しかし革命後、彼らがより強力になると、かれらもまたいっそう腐敗しはじめた。1820年代後半までに、多くのフリーメーソンのメンバーが殺された事件の後、反フリーメーソン運動が国を席巻したが、1850年代までにはその勢いは鎮静化した。その退勢は、ニューヨーク州北部のフリーメーソンが、彼らの秘密の儀式をばらすと脅したウィリアム・モーガンという男の殺人罪で起訴された結果であった。

アメリカ建国の基盤を詳しく調べると、そこにはオカルトとエソテリックなアイデアが浸透していたことが分かる。多分アメリカは、秘密の知識と秘密の活動に基づいて人間社会を進歩させようとするテンプル騎士団/ベーコン/フリーメーソンの努力が、イルミナティの企てについての寓話と同じくらい、その部分をなしたのであろう。とは言え、それはどのような知識や動機であったのだろうか。真のイルミナティのアイデアが明確にされ再提示される必要がある。そのアイデアは、以前では啓蒙された人間にかかわり、解脱した師はバイエルン・イルミナティやその近代的な分派とは何らかかわりがなかったはずである。バイエルンのアダム・ウェイシャウトによって1776年に行われたとするイルミナティの陰謀は、間違ったもので、真のフリーメーソンによって正当に非難されたように、用語の腐敗した使用がおこなわれたものである。

すべてのエソテリックなフリーメーソンの象徴主義の中心は、知恵と光のイメージである。フリーメーソンの伝授儀式では、被伝授者には一つの質問が行われる――「あなたが最も望んでいるのは何か」。そしてその答えは、「もっと光 を」である。光とは知識、より適切には、知恵を意味する。正しいフリーメーソンの目的は、「いい人をより良くする」ことであり、倫理的教えとエソテリックな知識を授けることで、それを深く理解するとそれは知恵となる。フリーメーソンは自己規範を提唱する最も初期の社会であり、それがその「創設の父」がとても好まれている理由である。フリーメーソンは彼ら自身の指導者を選出する。それは秘密の投票により行われた。彼らは権力を分離していた。彼らは憲法により統治されていた。これらの要素はすべて、「創設の父」によりそれが構想された時、自治政治の形成に大きな影響を与えた。

もしアメリカに何か神聖なことがあるとすれば、それは、神が私たちの存在の創設者であり、私たちの自由や主権、権利、司法、そして人間としての尊厳の源泉であるということである。これらはフリーメーソンの概念であり、それは、アメリカの創設者の一部であった偉大なフリーメーソンたちによって、この国の社会政治機構に注入された。ジョージ・ワシントンは、他の13の大統領や多数の最高裁判事とともに、フリーメイソンの一人である。ベンジャミン・フランクリンはフリーメーソンについての本を彼自身の印刷機をもちいて出版した。9人の独立宣言の署名者のうち、ジョン・ハンコックはそのうちの最大の署名〔一説によると、イギリス王ジョージ3世が眼鏡を掛けずに読めるよう〕をした。さらに、アメリカ革命の最も偉大な人物の多くである、イーサン・アライエン、エドモンド・バーク、ジョン・クレイプール、ウイリアム・ダウズ、ジョン・ポール・ジョーンズ、ロバート・リビングストン、ベンジャミン大佐、タッパーとポール・リビアは、ともにフリーメーソンであった。憲法の40人の署名者のうち、9人はフリーメーソンとして知られ、13人はそのメンバーシップの証拠を示し、6人は後にメンバーとなった。それ以来、43人の米国大統領のうち14人、つまり、三人に一人がフリーメーソンであった。大統領を務めた最後のメイソン指導者はジェラルド・フォードである。

アメリカにおけるフリーメーソンの重要性とその会員数は、1800年代半ば以来激減し、まさにアメリカの価値観を変えてきた。 200年前、ほとんどの人がまだ奴隷制度を支持していたことを思いだそう。100年前、ほとんどの男性が女性に投票権が必要とは考えなかった。 50年前、異人種間の結婚は多くの人によって罪悪と考えられていた。最近でさえ、同性愛者の結婚が社会の過半数に受け入れられたばかりである。長期間をへて、人類はより寛容で思いやりのあるものとなりつつある。フリーメーソンはまだ世界中に何百万というメンバーがおり、彼らは閉ざされた秘密の儀式を継続している。フリーメーソンは、殺人から秘密に米国政府を支配する悪魔の宗教崇拝まで、そのことごとくを告発されてきた。 1ドル紙幣を手に取り、それを裏返すとそこに合衆国の封印(Great Seal)を見ることができる。そこには、ダビデの六芒星が描かれ、すべてを見通す目が頂点に置かれていること――共通したフリーメーソンのシンボル――に注目させられる。また、同星の他の先端の文字を見ると、そこにはM-A-S-O-Nと綴られている〔訳注〕。フリーメーソンは、自分自身を秘密結社とは考えておらず、むしろ秘密をもった社会だと考えている。

〔訳注〕訳者が実物の1ドル紙幣を見た限りでは、この綴りは発見できず。

 

 

水晶球とルーン石碑に関して

多くの歴史的な質問は、近いうちに決定的な回答がえられるに違いない。進んだ宇宙旅行技術と、スイスのCERN(欧州合同原子核研究機構)のようなスターゲート技術(拡張されればタイムマシンである)は、最終的にはすべてを伝えることになろう。またより正確に言えば、いったん既知の技術が〔完全に〕公開されれば、私たちは、Looking Glass技術の援助をえて、反重力、次元間宇宙旅行、および時空間連続体の完全な理解を通して、私たちの好きな時に歴史のどんな時をも覗き見ることを可能とする恩恵をもたらすだろう。これは、私たちの過去の地球だけでなく宇宙全体を通じた完全な歴史的記録を持つ水晶球のごとき「アーカシックレコード」を活用することによって達成されるかもしれない。「イエロー・キューブ」技術は、およそ50年前、ETによる地球上での秘密活動の許可と交換に、グレイ・エイリアンによって実演済みの技術である。海軍諜報機関の内部告発者のウィリアム・クーパーによると、「ETは、キリストの実際の十字架刑であるというホログラムを示し、それを政府は撮影した」。同様に、この技術が明らかになると、論争、陰謀論、またはあらゆる種類の秘密は無意味になってしまう。そしてすべての歴史が誰にでも分かってしまうので、陰謀というものは存在しなくなる。従って、こうした知識に関与してきた人々がそれを隠蔽したがるのは、あまりに当然とも言えよう。

逆工学されたSun DiscまたはLooking Glass技術が、誰にでも公開された場合を想像してみよう。あなたは、そのムーの太古の装置を活用することで、過去の生活を見たり、将来の出来事を垣間見ることが可能となるだろう。今あなたの持つスマートフォンのはるか先をゆく装置を考えてみよう。あなたの過去の生活から学んだり、歴史のある特定の瞬間を目撃してみよう。あるいは、今から 100年後の地球環境を見てみよう。その装置をもってすれば、北アメリカ内陸でルーン石碑を後にしたバイキングたちや、イエローキューブの初の実演に際した将軍や科学者が見たイエス・キリストの最後の受難劇、あるいは、エジプトやアトランティス、さらに、この惑星の長い歴史の中のもっと古い冒険談ですら、自分で目の当たりにすることができるのである。そして、調べるべき北アメリカの歴史の他の極め付きの瞬間には、グランドキャニオンのエジプト人、スーペリア湖地域で銅を回収しているフェニキア人、アメリカ先住民地を探検し、植民地とし、影響力を及ぼし、相互活動するバイキング、そして、サンフランシスコ湾を発見しそのあたりを航海しているフランシス・ドレイク卿、などがありうるだろう。

私たちは歴史のタイムラインを見ることを楽しめる一方、先史時代の偉大な文明――太平洋のナン・マドルや中央アメリカのマヤなど――の起源ものぞいてみることもできる。また、死海の巻物の欠如部や編集版や平和のエッセネ福音書を読むことは、実に興味をひかれることである。私たちの過去からどれくらいのことが学べるのか、想像できるだろうか。確かにLooking Glass技術の開放は、われわれが知っている世界を完全に変え、透明性の時代を導くだろう。歴史は勝利者によって書かれていると言われている。だが、この新しく開放された技術により、私たちがよく知っているすべての過去の記録は、考古学的記録の日付とともに、必要に応じて新しい外観と改訂を得るだろう。結局のところ、現代科学としての考古学は、1840年代のビクトリア朝時代初期のものである。私たちは地球の真の歴史について多くのことを学んできたのだが、今や、地球上の失われた大陸や、かつて存在していた先進的文明をも知りうるのである。

 

大ピラミッドは、大陸の重心にある。それはまた、正確に世界のすべての陸地の中心に存在し、地球の全陸地をほぼ4等分している。ギザは疑いなく数学的なφの割合に建設されている。南北の軸(グリニッジから東に31°)は最長の陸地上経度線であり、東西軸(北30°)は、地球上で最も長い陸地上の緯度線である。明らかに、地球上で最も長い陸地上の南北、東西の線が交差することができるのは、正確にギザの大ピラミッド以外にない。(with permission, (c) Brad Olsen, 2017)

 

地球上で最古の花瓶は、1851年、マサチューセッツ州の採石場で労働者が爆破中に発見した。それは細い銀をはめ込んだ亜鉛の花瓶で、ブドウの形をしている。この花瓶の年齢は、それが発見された採掘石炭塊から、驚くことに、5億3千4百万年前とされた。その年代とはカンブリア紀であり、地球上での生命が大きな変化を示した時代で、生物組織は、小さな単細胞の単純な種から複雑な動物の形態へとジャンプした時である。(with permission, (c) Brad Olsen, 2017)

 

これは、ボリビア、チワナクの太陽の門の写真です。 考古学者によると、この記念碑は、最後の極移動時までさかのぼることができ、それが建つ土地は海の近くにあったが、アンデス高原まで隆起したと考えている。 この太陽の門はかつての強力な地震によって動かされ、写真のように歪んでおり、もとのように、もはや東の太陽に向かってはいない。(with permission, (c) Brad Olsen, 2017)

 

【本章完了】

 

参考文献

DuQuette, Lon Milo, The Key to Solomon’s Key. San Francisco, CA: CCC Publishing, 2010.
 Fell, Barry, America B.C. New York, NY. Pocket Books, 1989.
 Howell, F. Clark, Early Man. Alexandria, VA: Time-Life Books, 1968.
 Pye, Lloyd, Everything You Know Is Wrong, Book One: Human Origins: Textstream, 2000.
 Scarre, Chris, General Editor, Past Worlds: The Times Atlas of Archaeology. London, UK: Times Books Limited, 1988.
 Tate, Karen, Sacred Places of Goddess: 108 Destinations. San Francisco, CA: CCC Publishing, 2006.
 Wasserman, James, The Temple of Solomon: From Ancient Israel to Secret Societies, Inner Traditions, 2012.
 Westward, Jennifer, Editor, The Atlas of Mysterious Places. London, UK: Weidenfeld & Nicolson, 1987.
 Nephilim Bible references:
http://www.nwcreation.net/nephilim.html
or
http://www.pantheon.org/articles/n/nephilim.html

 

 

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Modern Esoteric: Beyond Our Senses,  by  Brad Olsen

http://cccpublishing.com/ModernEsoteric  www.bradolsen.com

with permission, (c) Brad Olsen, 2017



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