三ヵ月ほど、この「越界-両生学・あらまし編」をごぶさたしていました。この間、新しい訳読に関心を集中していたのですが、この「あらまし編」は、表記の「宣言」をその結語としてかかげ、今回をもって最終回にしたいと思います。そして次回より、「日々両生」でも触れましたように、次の十年紀へ向けてのマップ作りとして、この「宣言」に託されたその意味、すなわち、その《峠越え》に向けた「越界-両生学・本編」に入ってゆきたいと考えています。

さてそこで、その宣言、「通過点としての《し》」です。

まずその初めにこの「《し》」ですが、それは、「さ」でもなく、かといって「す」でもなく、その間にある「《し》」であります。ただしそれは、現社会の慣用では「死」と表現するのが一般的であり、いかにも今日の世相を象徴的にも反映するこの「ひとこと」につき、そう記号化して表現しなおしたものです。いくぶん遊戯的ではありますが、この技巧を通じてそうした世相の解毒化をはかり、またその根拠希薄なぶれについては、それを最小化してみようとのたくらみであります。 詳細記事

私がこの連載「訳読―2」(今回より{訳読―2b)を含む)において、ブラッド・オルセンの「東西融合〈涅槃〉思想」シリーズの訳読に精を出している理由のひとつが、私たちの存在の根源が、タイトルのように、《宇宙への風穴》をもっていることにあります。ことに私はそれを、「逆算のカウントダウン世代」の一人として、別掲のような『「通過点としての《し》」宣言』という観点からも、自分の永遠の旅立ちにからめてそれをえて考えています。

その4回目である今回は、その《風穴》を、生物学の観点、とくに生命の発生にかかわる遺伝学の分野からみてゆきたいと思います。

そこで取り上げるのは、同著者の「東西融合〈涅槃〉思想」シリーズの第二冊目である『現代の「東西融合〈涅槃〉思想」』のうちの「DNAミステリー」です。 詳細記事

 

 

ブラッド・オルセン著

 現代の「東西融合〈涅槃〉思想」

――五感を越えて――

も く じ

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「生命の遺伝子の種は、宇宙中を満たしており、そのうちのいくつかの『種』は、他の惑星と同じく、地球にも降ってきている。そして、こうした遺伝子の種は、あらゆる生命の変態――女と男など――の指令を含んでいる。DNAは、環境を意図的に変えるよう働き、かつ、特定の遺伝的目標――沈黙したDNAの分散や発動、そして大昔に他の惑星に住んでいた生命形態の複製化――を完成するよう、遺伝子選択をすすめる。」

ラウン・ジョセフ

(論文「進化的変態」の著者) 

何が人間を、それほど特別につくったのだろうか。それはおそらく、私たちは、他の種が私たちをどう知覚しているかを考える、唯一の種であるからだ。私たちは、こうした合理的な精神、活動的な自由意志、それに加えて、自己心酔への偏好を持っている。私たちは、建築学、医学、文学、芸術、音楽、そして科学を創設し、また、他者を罰する力もそなえている。私たちはまた、ボタンを押すだけで他者を破壊できる、唯一の種でもある。いかにして私たちは、他の動物を優越し、それほど創造的に異なっているのか。結局、私たちのDNAdeoxyribonucleic acid(デオキシリボ核酸)〕のほぼ99パーセントは、チンパンジーのDNAと同じである。進化論生物学者によれば、私たちはサルの子孫である。私たちの手は、人間に精密性と力を与えた際立った遺伝的特徴をもっている。つまり、私たちの親指は他の四本の指のすべてに触れることができる。なぜ私たちは、そうした多目的な手をもっているのか。人間を人間としているものは、いったい何なのか。ゲノム〔一つの細胞の中の半数染色体とその中の遺伝子を合わせたもの〕は膨大な研究分野で、「生命学」の根本的探究を始めるには最適の領域である。 詳細記事