世界の政治家の首が吹っ飛ぶ話

〈連載「訳読‐2」解説〉グローバル・フィクション(その35)

もし、今回訳読の章に書かれていることが真実だとすると、世界中の政治家のすべての首が吹っ飛ばなければならない話です。というのは、今回の議論にもとづけば、もうすでにこの地球は、異星人の植民地となる勝負は決しているにも拘わらず、その「敗戦」の事実は一切、秘密にされ、各国民に何ら知らされていないからです(つまり、かつての「大本営発表」と同じことが、今日、世界的に行われているということです)。

そしてその“責任”ある――事実上の“言い逃れ”の――説明は、「それに対処しうる計画が開発されるまで、秘密にされなければならない」というわけです。つまり、もはや完全にお手上げなことを、いまさら発表する――そして国民の不安と混乱をあえてつくる――必要はない、ということです(逆に言えば、責任担う政治家にとっては、それは「墓場まで持って行かねばならない」知ってしまった事実である、というしかないことであるようです)。

この話がSFでもハリウッド映画でもないとするなら、当然、その事実を知りうる地位にある者たちは(その全員とは言わずとも)、その成り行きを拱手傍観しているわけはなく、彼らはそのやがての支配者と裏取引をし、自分たちだけでも特別扱いされる密約を結んでいる、そう考えるべきであるのが、過去のこの地球をめぐる大半の歴史的リアリティーです。

先にこの連載で、「宇宙版「尊王攘夷」たる今日」との見解を掲載しましたが、それは、日本の明治がそうであったように、そうした「外敵」の結局の“抱き込み”あるいは“妥協”が成立するかの、いくらかでも希望の残る話でした。

しかし、本章に述べられている「外敵」は、そうした折り合いがつくような相手ではありません。なにせ、次元の異なる超圧倒的な技術力の差のある相手で、しかも極めて自己中心的です。「大人と子供」の比などではありません。

それはあたかも、かつて、スペイン人がアステカやインカ文明を滅ぼしたように、あるいは、西欧人がオーストラリアのアボリジニーを動物扱いし、アメリカンインディアンを絶滅寸前にまで追い込んだように――日本人によるアイヌ民族の迫害もむろんその一例――、過去の人間の成してきた悪事の天地逆転した、「自業自得の図」に見えます。

そうした話の今日的宇宙版たる今回の話は、徹底して秘密とされてきているがゆえに、つんぼ桟敷に置かれている私たちの姿を逆照射しています。私たちは、それにどう対処すべきかを判断する、その材料すら事欠かされていることを教えてくれています。

そして、本章の議論は、そうした秘密や嘘をめぐって、少なくとも、その輪郭を私たちに提供する貴重な材料となっています。

もちろん、その議論は、その証拠がいっさい隠されているだけに、仮説や推測の範囲はこえられません。しかし、間違いなく、その当事者である私たちは、知恵をめぐらせてその空隙を埋め、その命運を決してゆかねばならない位置にあります。そして願うべきは、こうした事柄は自分たちの代で解決できない問題であるだけに、子や孫に伝えられねばならない話でしょう。

 

それでは、「畜牛切断と人間誘拐」の章にご案内いたします。

 

霊理的」という新語

翻訳上、以前から気がかりになってきているある用語があります。それは、英語では「spiritual」という語ですが、それをこれまで本サイトでは「霊性的」と訳してきました。しかし、それではどうも寸足らずなのです。そこで、「霊理的という新語を“考案”し、今回よりそれを使ってみることにしました。むろんこれは、私独自のこころみです。しかし、同じ課題を、こうした分野に関心のある人なら誰でも抱いているはずです。(英語上でも、この「spiritual」という語は多義的で、新語を必要としていると思います。あるいは、もう作られているのかも知れませんが、私はまだ出会っていません)。

この「spiritual」は、ことに私の関心対象とする特定の文脈では、人間にまつわる、いわゆる「超自然現象」におよぶ心的領域を指して用いられています。ことにETが駆使しているらしい同領域を含む高次元な技術は、UFOにせよ、タイムマシーンにせよ、テレパシーにせよ、それをただ「超」能力で片づけるのでなく、科学知識の拡大として対象とすべき分野です。また、量子力学の分野でも「素粒子が『意識』をもつ――少なくとも『客観的』との概念では扱えない――」との議論が定着しつつあります。

むろん、この「霊理」という用語は、科学用語とまでの定義はあたえられていませんが、その“事前段階”の考えの表現手段としては有用かと思います。私が他の記事で多用している「メタ」という言葉も、この領域や用法に重なるものです。

要を言えば、既存分野でいう「宗教」と「科学」には重なり合う部分があり、それを解明せずには、とうていETたちの領域には達せず、まして、その分野を技術として実用化するなどは、ほど遠いであろうとの観点です。

【付記】 この「霊理」という日本語は、戦前の運勢占いの流派が自派をそう呼んで使った形跡はあります。しかし、現代において、しかも科学に絡んだ用語としては、調べた限りでは、その事例は見当たりません。

 

 

 

 

 

 

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