二日行程トレッキングコースを日帰り制覇

かねてから狙っていたものの、決断に至らなかったこの計画でしたが、昨日、ついに決行し、無事、成功しました(5月15日記)。

シドニー南部の沿岸地帯に広がるロイヤル国立公園。その見どころは、何といっても、切り立った断崖絶壁をなして海に落ち込む、豪州大陸が造り出す壮観な地形美です。

断崖絶壁は、高いところでは100メートルを越える。

そうした見どころを連ね、全長26キロにわたって設けられているのが、この「コースト・トラック」です。

一般向けには、一泊のキャンプを含めた全二日行程とされているのですが、それを一日でこなそうというのが、以前からの計画でした。

昨日は、この先数日の好天が予報され、しかも秋入りとなって暑すぎも寒すぎでもないこの時季、またとない実行のチャンスでした。

ただ、若いころなら何の不安もないのですが、何せご本人はもう74歳。途中でへばったり、マイナーなトラブル程度ならともあれ、いわゆる遭難をも引き起こして「年寄りの冷や水」などと報じられかねない事態に至る恐れもあり、しかも、同行を希望する御仁もいない単独行。つまり、こんな歳ならではの、自己責任の取り方も考えておかねばなりません。

そこで、万一に備えて、ビバーク(簡略なキャンプ)も可能な装備と余分の食料も携えてのチャレンジとすることとしました。

 

左赤丸(Bundeena)から右赤丸(Otford)までがその道程。最初に到着した見晴らし台(The Balconies)に表示されている現地地図がこの写真。地図上には現在位置が「You are here」と矢印で表示されている。同様な地図が途中何か所かにも設置されているのだが、その地図上の新たな現在位置をみて、よっぽど歩いたはずなのだがまだここか、といささかがっかりさせられる。ちなみにその案内によると、この沿岸沖を、毎年6,7月には、出産のために温かい海へと北上するクジラが観測できるという。

このコースは、山間部ではない海岸線上を行くものとして、一見、平たんで楽な歩きを予想しがち。しかし実際は、海へと流れ込む川筋が幾つもあって、その度に谷底へといったん下ってから登り直し、また場所によっては入江をなす砂浜で足をとられながらの歩行を強いられる等の繰り返しで、意外と体力を消耗させられます。

そのアップダウンを合計すれば、標高千メートルに近い山越えにも匹敵するでしょう。そのため、二日日程のコースでも、「グレード5」の熟達者向けと指定されています。

 

朝もまだ暗いうちに家を後にし、バス、電車そしてフェリーを乗り継いで、スタート地のバンディーナに到着。ただちに出発したのが午前8時、そしてゴールのオトフォードの駅に到着したのが午後3時半、しめて7時間半の所要時間でした。

全行程26キロを7.5時間で終わらせたのですから、休憩も含めて3.5キロの平均時速。この年齢にしては、上々の出来だったと言えましょう。

 

行程もほぼ終盤の尾根上から南方の眺望。はるか遠方に見えるのはウーラゴンの街並み。写真中央の二か所の岩礁のうち奥の方が、今年1月に訪れた「8の字型プール」がある岩礁。

 

こうして、自信を深めて帰宅したのですが、それなりに重たいザックを背負っていたためか、今朝起きると腰に痛みが再発しています。この先しばらくは、この腰痛の養生に努める必要がありそうです。

こうした無事達成をえて考えているのですが、不安をカバーするキャンプ関連装備――計4~5キロ――が不要であるなら、軽装備でのいっそう快調な歩きができそうです。

次の機会には、さらに短時間の踏破に挑戦しましょう。

 

ところで、こうした「年寄りの冷や水」的挑戦がなぜ必要なのかについては、別掲の記事を参照してください。

 


【写真下】行程14㎞付近で見られるキュラキュロング滝。川の流れがいきなり海へと落下している。崖下では、岩壁が洞窟状にえぐられ、そこに波がぶつかって雷鳴のようなごう音をとどろかせる(二枚の写真はステレオ写真となっており、左右を重ねると立体画像がえられます)。滝口脇に写っている人の姿から、崖の高さがどれほどかがうかがえます。

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