超番外なシーン

  修行風景 中堅編(その3)

ひょんなことから、ハリウッド映画のエキストラをすることになり、すでに、2回の撮影を終えました。

その映画は、アンジェリーナ・ジョリーが監督する「アンブロークン」。日本軍捕虜となった米軍兵――ベルリンオリンピックのメダリスト――の話で、来年末に封切られる予定の映画です。

この数週間、週末3日はシェフの仕事があり、残りの4日のうちの丸一日がこのエキストラ仕事にとられるという具合で、他に、本来のコンサルタント業やら物書き作業もあって、近年にない忙しい生活を送っています。

ただし、こうして忙しいということは、それだけ、脳への刺激が多いということで、脳のシナプスは、大いに活発化している実感ひしひしです。

 

昔オーストラリアに来たばかりでまだパース在住の頃、うんと簡単な役でしたが、日本のテレビドラマ番組のエキストラをやったことがありました。

そういう意味では、今回は二回目の仕事なのですが、やはりハリウッド映画ともなると、その出で立ちは極めて大がかりです。すでに済ませた2回の撮影も、一度はシドニー中心の街路を一部封鎖して1940年代の東京の一角と見立て、そこでのロケでした。

二度目は、シドニー湾内に浮かぶ旧海軍基地の島をロケ地とし、その廃墟となった埠頭を当時の横浜港と見立てたロケでした。

どちらでも、私の役は通行人や市民ですが、当時のままの服装――和装と洋装――をし、髪型をそれ風に整え、メーキャップもしての登場です。

 

こうして、映画製作の現場に立ち会った感想なのですが、この映画の特徴ももちろんあるのですが――捕虜や通行人役の何百人ものエキストラを使用――、ともあれ、映画製作とは、なんとも労働集約型産業なんだなということです。

ともかく、ロケ現場は、監督をトップにした様々な部門を担当する各スタッフや下請け業者から我々エキストラまで、人でごった返していました。

そして、もう一つの感想は、映画製作とは、なんとも“アバウト”な産業で、現場での試行錯誤が繰り返され、予定というものが無いに等しい状態です。そのため、私たちエキストラの役の実質は、そのほとんどが待ち時間という、製造業や建設プロジェクトなどの効率本位な生産方式を知っているものにとっては、なんとも無駄や隙間だらけの生産実態だな、という印象でした。

逆に、オーストラリアの連邦や州政府が、映画産業の誘致に熱心なのも、雇用創出という面では、これほどの労働集約度があるなら、投下資本当たりのその度合いは、大いに高いゆえなのだろうと、考えさせられているところです。

12月になれば、もう一場面の撮影が予定されていますが、その具体的日時は、その前日にならないと連絡がこないという、超アバウト度です。

ちなみに、二度目の撮影の際は、予告されていた日の前日の早朝6時過ぎに連絡がきて、今からどこどこへ駆けつけてくれとのどたばた度です。

素人にさえ、なんとか改善点はあるのではと思わされること頻繁な、異業種体験シーンであります。

ひょっとすると、監督のアンジェリーナ・ジョリーは、一切の今風コンピュータ・グラフィックや管理法を排した、古典的制作法に徹してこの映画を作っているのかも知れません。

 

 

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