「君、ペット飼ってる?」
「飼ってるなんてもんじゃないわね、同棲してる家族。」
「一人暮らしでさみしいから?」
「というより、その子との二人暮らし。」
「おー、母子家庭なんだ。そうなんだよね、もう、人間よりペットのほうが身近。」
「なんというのかなあ、人間って、結局、どこかでウソっぽいってゆうかカラをかぶってる。うちの子のほうが、ほんとに裸で打ち解けれる。」
「でも、動物だろう?」
「だからどうなの? 人間って、そうやって動物を見下げるけど、そういう自身はもうロボット同然じゃないの。動物のほうが、うんと、にんげん的。」
「癒されるってやつ?」
「それどこじゃないね。私のことを“お一人さま”なんて言う人がいるけど、 “お二人さま”になっても、結局は破滅、離婚してゆく。そんな無駄はないね、この子とは。」
「でも、ペット相手じゃ物足りないんじゃない?」
「相手に何を期待するの? そういうのって、結局、損得じゃない。でも、うちの子は違うね。プラスマイナスも表裏もなし。」
「でも、都合が悪くなると、捨てれる。」
「誰だって、恋人を捨てるし、捨て子もする。」
「捨て子は、親の養育義務違で一種の犯罪。」
「確かにそんないろいろの決まりはあるんだけど、だからといって、ペットたちの世界よりましな社会だなんて思えない。私はうちの子を捨てはしないよ。いつまでも大切にしてゆく。」
「なんだか、世界が先祖返りしてきているみたいだな。人間がまだ動物だった時へ。」
「へたすると、火の玉時代が再来するかも。」