もう十年以上にもなりますか、いかにもひとりよがりなんだけど、こいつはね、「道路と鉄道の融合」とかという構想をあっためているんですよ、いっぱしに。
それはSF風に言うとですね、道路と鉄道を融合させ、車が線路化した道路上を、列車のように連なって高速走行する輸送インフラなんだとか。
あるいはですね、新幹線の車両を個室化してユニットとし、それが運転情報と電力を供給するガイドレール上を車列となって、中央制御されてぶっ飛び合うシステムです。
それはあたかも、日本全体が、オートメ化された物流倉庫機能でネットワークされるイメージですね(3年前には、同構想に関連した3記事も〔注記〕)。
もちろんそれが完成した暁には、輸送の効率は飛躍的に向上し、しかも、それに携わる人の労力軽減と省力化は著しいことこの上ないはずだそうで。
一方の日本の現実は、先月10月30日付けの日経電子版の、「物流戦略なき30年のツケ 人材14万人不足、損失10兆円」との記事の言う通りですね。
来年4月からの時間外労働規制をはじめ、高齢化と労働力不足を抱える運輸産業の危機を報じています。
つまりは、日本という、狭い国土に人口の密集する国が、その特性を生かしたさらなる発展をするには、高度な生産を保証する高次元の物流システムと、それをこれ以上の自然環境への負荷を与えない緻密なインフラ装置で支えるという、戦略的な改造をする必要があるんじゃないですかね。
今や、産業の情報化は飛躍的に遂げて未来に向かいながら、モノを運ぶという非情報部門は、 内輪で「輪っぱ回し」なんかと自嘲される、トラックと運転という昔ながらの方式から抜け出ていませんよね。なんかもう、大ちぐはぐです。
社会がどれほど情報化を遂げようとも、私たちには衣食住というモノはゼッタイに必要じゃないですか。
要は、鉄やコメや衣料は、インターネットには乗せられないということ。
情報とモノとが高度に会い携えた仕組みが要るんじゃないですかね。
残業規制やトラックの混載などといった、小手先の発想で片付く問題なぞではないはずですよねえ。
〔注記〕 交通システムの進化:鉄道と道路の融合 続・交通システムの進化:空はどこまで 続々・交通システムの進化:盲点はどこに
【まとめ読み】
第一話 料理は身を助ける
第二話 「うら、おもてなし」
第三話 上の口と下の口
第四話 「粒子」と「波雄」
第五話 秋の日本へ
第六話 きれい好き日本
第八話 ダブル偶然おひとりさま
第九話 人にある男女の調和
第十一話 えっ、「発達障害」? 俺だって
第十二話 「年寄りの冷や水」しようぜ