居酒屋談35号そして本独想記32号に引き続いて、中央アジアの旅で体験した「不思議な遭遇」について考えている。
そしてその謎を解く鍵が、むしろ、旅をすること自体にあるのではないかと推測している。
そこで仮説を立てるのだが、旅をするのとは反対に、定住したり、国といった固定した枠内に安住したりすることが、人間にとっては、むしろ“不自然なこと”と断言するのは無理としても、大きく片寄ったものであるのではないだろうか。
そして、そうしたノーマッドな在り方が示唆することは、この定住とか国民とかとの、今日のほとんど全地球に行き渡った常態こそ、生命の本来の在り方に“背いている”とするのはこれまた行き過ぎとしても、大きく片側へと振れているものではないだろうか。

遠い過去には、旅を日常とする生業があった