「知価社会」時代のプロレタリアート

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これは2008年の世界同時不況の際に書いたエッセーですが、現在のコロナがもたらし始めている不況と同じような「時代の変わり目」の雰囲気を背景にしているものです。当時、故堺屋太一〔官僚出身評論家〕が、不況後に来る社会を「知価社会」と呼んで物的消費に傾かない主知的満足社会の到来を予告しました。それは現在で言われている「ニューノーマル(新常態)」に相当する甘美な標語でした。当時私は、その予告標語に対して、「プロレタリアート」つまり並みの労働者は、真に受けない方がいいのではないかと身構えて考えたわけでした。結局、堺屋太一の予告は外れて、グローバル・サプライ・チェーンに支えられたいっそう大規模な消費システムが構築されました。それはむしろ、私がそのエッセーに書いた恐れの到来でした。ではそのエッセー「『知価社会』時代のプロレタリアート」にご案内いたします。

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