住宅価格の高騰により、オージーの夢である自宅保有がしだいに困難になりつつあります。今週発表されたメルボルン大学の調査によると、2001年から2014年の13年間に、オーストラリア人の自宅保有率は3.5パーセント・ポイント低下し、この先数年間に、半数を割り込むだろうと予想されています。
下の6つのグラフは、その調査結果をまとめたものです。
上段左のグラフは家計当たりの自宅資産額の変化を2002年以降4年毎に比較(以下同様)したもので、中央値は2014年でほぼ40万ドル(3200万円)で、下から90パーセント目の家計は約180万ドル(1.4億円)です。
上段中のグラフは、貧富の差をみるジニ係数(数値が大きいほど不公平)の変化ですが、目立った変化はみられません。
上段右のグラフは、家計資産内容の変化で、上から、住宅、自己年金、他資産、株式の額で、上記のように住宅価値は約40万ドル、自己年金が19万ドルなどとなっています。
下段左のグラフは、自宅の保有率を年齢層別に2002年と2014年の2時期間での違いをみたものです。2002年では45歳になればほぼ75パーセントでしたが、2014年になると、75パーセントの率は、65歳以上のみとなっています。ことに25-34歳の層で、大きく保有率が低下しています。住宅価格の高さから、自宅保有にこぎつけるまで、より長く働く必要が出ています。
下段中のグラフは、家計保有資産のうちの住宅関係資産の種類別割合の変化で、上から非居住住宅、別荘、投資住宅、その他非居住住宅となっています。税制上の優遇から、財産蓄積手段が住宅関係に比重が置かれている様子がみられます。
下段右のグラフは、2014年の家族タイプ別の財産額です。上から65歳以上夫婦世帯の73万ドル(5800万円)で2002年から70パーセントの増加、若い夫婦のみ世帯の61万ドル、夫婦子持ち世帯の50万ドル、65歳以上男一人世帯および65歳以上女一人世帯の各43万ドル、独身男世帯の13万ドル、独身女世帯の10万ドル、そして、片親世帯の9万ドル(720万円)です。表には出ていませんが、35歳以下の各種世帯は、この13年間、資産額はほとんど変化していません。
なお、この調査は、メルボルン大学メルボルン研究所のロジャー・ウィルキンス教授によるHILDA(Household, Income, and Labour Dynamic in Australia)調査で、17,000人のオーストラリア人を対象に行われた。
(資料出所:20 July 2016, Australian Financial Review)