今回の帰国で、大江の郷里、内子町大瀬を訪ねつつ、同時並行して彼の小説『万延元年のフットボール』を読んでいた(前号参照)。そうした彼の生誕の地に実際に入り込み、かつ、その彼による作品――そこを舞台にしたその奇態な物語――の鑑賞という現実とフィクションにまたがる二重な体験をしてみることで、ノーベル文学賞に至るその世界的才能を生んだ環境が何かを探った。そして、同賞という異論のない成果を遂げながら、逆にそこに、あるいはそれだからこそ、その職業的創作者という生き方に、一種の仕組み上がった閉合された世界を見るという、思わぬ発見をしていた。
40年のタイムスリップ
〈半分外人-日本人〉(その21)
ミカン産地でのほぼひと月間の労働に一区切りが付き、一週間の正月休みに入った機会を利用して、今、長年考えてきた訪問先、故-大江健三郎の郷里、内子町に来ている。
こうした、これまでの四国、愛媛県における新体験をややSF風に表現すると、表題のように、「40年のタイムスリップ」ともしうる感慨がある。
そしてこの「タイムスリップ」だが、それはSF風どころか、日本を離れオーストラリアで40年にわたって過ごした自分と、その間、あたかも昔のままで居続けているような、今回の訪問で改めて接しえた日本の社会の在り様とが、まるで同期したかのごとき、リアルな融合感である。

昔、わが家でもこうした新年の飾りつけをしたことを思い出させてくれた、内子の街並み保存地区でのひとシーン。
12月の「日平均訪問者数」(グラフ中の赤線)は、11月の2,673人からわずか増加して2,685人となり、この一年は、大きな上下動を見せながらも、千人台後半から二千人台後半へと、ほぼ千人、6割ほどの伸びを達成しました。

