もしあなたが両親宅にパラサイトする二十代後半世代なら、用心なさい。あなたの両親が計画していることに、あなたは入っていないかも。
一世代昔のリタイア生活中あるいはその準備中の人なら、大家族向け住宅に住み、子供や孫に資産を残すことを考えていた。しかしもうそれは過去のこと。ファイナンシャル・プランナーが言うには、今日、人生最後の数十年を前にしたベビーブーマー〔団塊世代〕にとっては、「自分優先」が原則という。
adviserObelisk TWBの取締役、マイク・インガムは言う。彼らは環境を変える機会をねらっており、まだ家にいる子供たちはその射程外である。次にどこに住むかについての彼らの話題は、大きな家を早く売り払い、成人した子供たちを独立させ、自分の“巣”作りに向かわせることである。
メルボルンの Affinity Private の代表のキャサリン・ロブソンも同意見である。「多くの場合、彼らが住居をダウンサイジングする理由は、自分たちと成人した子供のためとの両面の機会づくりです。彼らはそれを今しようとしており、もう十年待つ積りはありません。私の幾人かの顧客が言うには、子供たちから逃れたいから売りたいのです。」
子供の有無にかかわらず、彼らの寿命が伸び、いっそう健康となっている今日、リタイア世代が次にどこに住もうかと考える際の最大の焦点は、ほぼ疑いなく、家族ではなく、自分たちの楽しみである。
そしてそれがどこかについては、海辺や山間といった環境の大変化ばかりでなく、そこが外国という場合も多い。旅行好きの二人、コリーン・ライアンとスティーブ・ワイアットのサイト www.planet-boomer.com は東南アジアに移動する経済的、実務的情報を提供しており、この1月だけで4万件のヒットがあった。
「海外で生活するには、どうすれば安くより良いかに、大きな関心があります」とワイアットは言う。多くの退職者は、オーストラリアでのライフスタイルを維持したいものの、それに見合う資金の用意はない。「もし200万ドル〔約2億円〕で家が売れたとしても、バイロンベイで家を買えば150万ドルはかかる」と彼は続ける。
彼のサイトで、60歳以上のオージーの最大の人気国は、タイとマレーシアである。「英語が使え、活気に満ち、医療も整備されている。マレーシアではイポー、ペナン、クアラルンプール。タイでは、チェンマイ(山間で涼しく、政治も安定し、ヒッピー風のカフェやバー、それに大きな欧州人社会がある)やファヒン(静かなビーチリゾートでタイの王様が過ごし、ゴルフ狂には天国)だ。」
さらに望ましいことに、その生活費は、オーストラリアより50から80パーセントも安い。「もし、ペナンのバツ・フェリンギのビーチ近くで賃貸住居を探した場合,築10年の広いベランダ付の3寝室アパートが月200ドル〔約2万円〕以下で借りられる。そしてペナンの食べ物は最高だ。」
そこが国内であれ海外であれ、リタイア世代に、自分自身が第一であることに変わりはない、とウエストパック投資銀行のパートナー、デビット・サイモンは言う。
「彼らにとって、自分のライフスタイルの追求が大切だ。変化を望み、〔家は〕維持が容易で、かつ、友人とは親密でありたい」、と彼は続ける。多くの人が、家は小さくなっても、同じ環境価値のものを選ぶ。そしてその例として、シドニーの北部海辺地区の緑あふれる家を、ゴールドコースとのアパートとフランスのいなか家とを交換した夫婦を挙げる。また別の例では、シドニーの北部の大きな家を売って、同じ価値のビーチ脇のアパートを買ったケースを挙げる。
メルボルンの顧客について、インガムとロブソンも同見解で、大きな郊外の物件を売り、市の中心地のアパートや海辺の隠れ家を買う例を挙げる。「住宅価格の上昇によって、彼らは自分の選択の最大なものをこころみている。一軒で二軒や、売りに出している郊外の物件で、価値の上では釣り合わない海辺の物件を求めたりしている」、とインガムは言う。
リタイア世代が、家を売ったお金をリタイア生活用の資金に加えた時代は過去ものとなったかのようだ。「自分の快適さをダウンサイジングするのはとても困難だ。もしあなたが家の一定の水準に親しんできた場合、それを下げてお金を浮かせ、それをよそに回すというのは難しい」、とロブソンは言う。
サイモンが言うには、65歳とは新しい40歳で、人生の次の段階の計画――働くことではなく楽しむこと――に大きな努力を払っている。