家計収入、伸び停滞、格差拡大

メルボルン大学の研究所が毎年実施しているHILDA〔家計・収入・労働動態〕調査によると、2017年の家計可処分収入の中央〔Median〕値は80,095ドル〔572万円〕で、インフレ換算値で、2009年より542ドルの減少となった。また、同収入の平均〔Mean〕値は、過去8年間で3.5パーセント(3,156ドル)伸び、2017年で93,734ドル〔670万円〕となった(グラフ参照)。

家計収入は、2003年から2009年までは、平均で毎年およそ3,000ドルづつ伸びていたが、近年は、事実上、伸びは止まっている。

「2012年以来、真ん中に位置する人の収入は基本的に変わっていない」と、同調査をまとめたウィルキンス教授は言う。

収入不平等にはほぼ変化はないが、収入流動性――収入階層を越えて上下する動き――は、2002年以来、わずかに減少している。

上位20パーセントの収入階層に属する人たちで、一年後にもまだその階層を維持している人たちの割合は、2001 – 05年の70.7パーセントから2012 – 16年の72.7パーセントに上昇した。

他方、下位20パーセントにはりついている人は同期間で、68.3パーセントから69.3パーセントに上昇した。

貧困も過去2年間で増加し始めており、それ以前の10年間での減少傾向をくつがえしている。

貧困ライン――平均収入の50パーセント――以下の人口の割合 は2017年現在10.4パーセントで、2016年の9.6パーセントから増加している。

貧困層の生活水準の改善は「維持されていなかった」と同報告書は結論している。

 

【資料出所:2019年7月30日付、Australian Financial Review紙】

 

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