今月は、「老いへの一歩」シリーズの第五回として発表した記事で、ちょうど7年前のものです。シドニーの下町でのご近所付き合いから得た友人が、82歳で亡くなった際の私の胸中をつづったものです。韓国人の彼は、私より15歳年上でした。日本による朝鮮半島の植民地時代に育っったため日本語が流暢で、しかも朝鮮戦争を体験した波乱の人生を生き抜いた証人でもあって、その日本の隣国を学ぶ上でもかけがえのない存在でした。加えて、ことに15歳の年齢差というその意味深長なギャップは、「人生のシミュレーション」のような意義を伴って、貴重な想定体験をもたらしてくれました。ではそのストーリー「案内人なき海域」にご案内いたします。
15年先の「人生シミュレーション」