オーストラリアン・ファイナンシャル・レビュー紙によると、全体としては供給過剰傾向にある賃貸住宅市場でありながら、シドニーとメルボルンは、まだまだ、引き締まった状態であるといいます。以下は3月20日付け記事の抄訳です。
シドニーの賃貸住宅市場は、ふたたび、タイトな状態がことに中心部近辺で顕著である。また、同じような状態は、メルボルンでも見られる。
しかし、ブリスベンやパースでは、供給増と弱含みな両州経済により、空室率の上昇と家賃の降下をもたらしている。
先月、CoreLogic調査のCameron Kusher は、この先二年間でアパートの完工はピークに達し、「来る数カ月のうちに、賃貸料金の引き下げが起こる可能性がある」と警告した。
しかし、シドニー中心部近辺ではまだ、そうした低下は生じていない。高層アパートの低品質の物件を別にして、そうした傾向は、メルボルンでも同様である。
シドニー中心近辺――ボタニーベイからモスマンあるいはアッシュフィールド――での空室率はこの2月には1.3パーセントにまで下がった。NSW州不動産協会によると、これはこの2年間での最低であるという。
ある不動産企業の販売部長は、歩いて通勤できる市中心部の高品質アパートに、より高い家賃をはらってでも住もうとするビジネス街勤務者による活発な動きがあるという。
「ダーリングハースト、ウールームーそしてサリーヒルで、12件の新築アパートが賃貸に出され、うち9件はその週のうちで成約しました。誰も値引き交渉などしていません」と販売部長はいう。
不動産アナリストは、シドニーで過剰供給の兆しはないというが、パラマッタのような地区では、その潜在性はあるとする。
実際、シドニーの店頭賃貸料金の平均は、この3月までの一年間に、5パーセント上昇し、週500ドルに達している。
NSW州不動産協会の調べでは、この2月のシドニーの賃貸市場の空室率は、中間周辺部では1.6パーセント、外周辺部では2.1パーセントであった。
メルボルンでは、空室率はもっと高いが、2014年以降、下がってきている。業界筋は「供給過剰は見られず、それは高い人口増のだめだ」と言う。
だが、ブリスベーンの中心部については、「空室率はきわめて上昇しており、しかも、まだ建設が続いている」と警告している。