クリスマス期の大型小売シーズンは、6-9月四半期での賃金伸び率が過去13年間の最低値となり、消費者が出費を再び削減するおそれがあるとの調査報告から、その期待への不安をもたらしています。
この休暇シーズンに家計出費の拡大をはかりたい政府の一方、多くの家族、ことに、先にブーム状態を経験した資源、公益事業、卸売部門に頼る家計は、収入の減少に直面しています。
11月13日に発表された政府統計局の労働統計によると、賃金は、第3四半期(7月-9月)は第2四半期(4月-6月)に対し0.5パーセントの伸びで、1997年以来の二番目の低さとなり、ことに資源産業では、この十年間の最低値となっています。
世界同時不況の後の2009-2010年でも、年間賃金上昇率は、今回のそれの2.7パーセントを上回っていました。
エコノミストらは、この低下は、資源産業への投資が終息し、また原産品価格が下落している中で、この国の命運の変わり目を物語っているとしています。
こうした低下がさらに進めば、豪ドル高を下げる影響を与え、輸出産業のコストを引き下げることとなり、国際競争には有利となります。
賃金の伸びの鈍化のニュースは、連邦準備銀行が政策金利を低目に維持する見通しをより強めています。同時に、ウエストパック銀行の消費者マインド指数月報(下のグラフ参照)によると、その自信度は今年最大値を示しました。だが、この先12か月間の家計見通しをでは、7.9パーセントが下落するとしています。
また、今年のクリスマスの贈り物への出費予定について、消費者のわずか14パーセントが昨年より増やすと回答し、ほぼ半分は変わらない、35パーセント以上が減らすと答えています。
ウエストパック銀行のエコノミストは、「同銀行の調査は、消費者の動向を見る限り、我々はまだ森を抜け出てはいないとの警告を送っている」、「全体として、家計は経済の見通しについて上向くとの感じを持っているものの、自分たちの収入が向上するかどうかでは、まだ否定的だ」、「(消費者マインド指数の)上昇が常態となるには、彼らの家計の伸びが改善されなければならないだろう」と語っています。
不安の一つの要因は、失業率が来年中ごろまでに、いまの5.7パーセントから6.25パーセントに上昇するとの財務大臣の見解のように、今後の労働市場のさらなる悪化の見通しがあることです。
13日の賃金報告は、経済に成長をもたらす要素をひとつも示していません。
住宅新築の需要が増している兆候はあるものの、建設産業の年間賃金の上昇は見られません。小売業でわずかな改善が見られます。
賃金上昇の低迷は、家計収入への深刻な影響をもたらしていますが、小売販売は、もし家計が上昇した貯金率を下げるとか、史上最低の金利を利用して借金を増やすことをすれば、回復してくる可能性はあります。
UBS銀行のエコノミストは、「より重要なのは、そうした賃金上昇の鈍化は、間違いなく、目下、オーストラリアの生産性を改善しているということで、最終的には将来の企業収益や雇用の増大をもたらす」と述べています。
〔消費者〕マインドの全般的活性化は、住宅市場の回復のニュースと合わせて、ことにシドニーで現れ始めています。住宅市場についてのマインド調査は、その自信が、四半期比で3.1パーセント、13か月前との比較で23パーセントの上昇を示しています。
民間部門の賃金上昇は、四半期比で0.5パーセント、年間比で2.7パーセントですが、鉱業部門では、顕著な低下と記録しています。公共部門のそれは、四半期比では変化なく、年間比では、昨年の2.7パーセントから2.6パーセントへ下がっています。
消費者マインド指数の変化
(2013年11月13日付、Australian Financial Review 紙の記事「Consumer confidence buoyed by property market」の全訳)