日中韓、尖閣問題ながらも握手

以下は、11月29日に、日本、中国、韓国の3カ国の自由貿易協定(FTA)の交渉会合を「2014年末に交渉の実質合意を目指す」ことで合意して終えたことを受けた、オーストラリアの有力経済紙の記事の翻訳です

軍用機がスクランブル発進し、空母が派遣されている最中ながら、日中韓の貿易担当者は握手を交わした。

26日の東京での写真〔会合に先立ち三国代表が握手〕は、東シナ海の島についての紛争をめぐるホットな言葉のやりとりにも拘わらず、こうした戦略的ライバル同士間にあっては、貿易が最優先事項であることを印象づけるものであった。

彼らの論調は軍事的緊張へと向かっているかのようだが、現実では、彼らは緊密な相互関係を話し合っているのだ。

実際、彼らの経済は高度に入組み、相互に依存し合っている。

日本と韓国は、中国の輸入のほぼ20パーセントを提供している。日本は、北京との直接通貨交換協定を持つ三国の一つである。

さらに、日本は中国の第三の輸出先で、香港を除けば、第二となる。

こうした事実を、今週のような北京の舌鋒に焦点が見られた時、オーストラリアは心しておくべきである。どんな紛争だろうと、中国の共産党指導者たちは、経済的成長を犠牲にまでして、軍事的冒険に出るつもりはない。

強硬姿勢を見せることは、ナショナリズムを燃え上がらせるためには好都合だが、党が権力を握り得ているのも、経済的実績がゆえにである。オーストラリアの外務大臣ジュリー・ビショップが、中国の東シナ海上空の防空識別圏設置を批判した後も、譲歩しなかったことは正しい。

「オーストラリアは、東シナ海の現状に変化を与えるいかなる威圧的あるいは一方的行為にも、明確に反対する」と彼女は述べた。

それは顕著に挑発的発言であるわけではないが、北京はオーストラリアに、関係悪化を避けたいのであれば、「ただちに誤りを正すように」と要求した。それはお馴染みの北京の脅しである。また、日本や韓国がまったくそうであるように、中国は、我々と同等に、我々を必要としている。

中国は建設物のためにオーストラリアの鉄鉱石を、慢性的大気汚染の浄化のためにその天然ガスを、そして、その人口のために良質で安全なその食物を必要としている。さらには、教育や、健康、先端製品やサービスなどもそれらに続く。

新たに発足したアボット政府は、中国の過剰な反応を、解決すべき最初の試練と受け止めるべきである。

北京は、新政府がインドネシアとの関係のまずい扱いをめぐって苦慮し、打開の機会を模索していることを承知している。オーストラリアが「第二の外交的いさかい」を望んでおらず、したがって、少なくとも当該案件について沈黙を保とうとするのはギャンブルである。

だがビショップは毅然としており、北京の第一のテストは無事通過している。

 

(出所:”Japan, China and Korea shake hands as spat over Senkaku continues”, Australian Financial Review, 30 November 2013)

 

 

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