新税を課して海外からの不動産購入に制限をかけようとする法案は、住宅取得の困難を緩和する方策を審議する議会委員会において、それ以上の進展を見せることなく廃案にされました。
報道によると、米国、カナダ、香港、シンガポールでの住宅市場状況を参考に、議会の予算オフィスが起案したこころみは、自己崩壊の結果となりました。
新たな課税のこころみは、政府歳入を増加させるよりむしろ、外国人による不動産購入を消滅させかねないと判断されたわけです。
不動産価格、ことに既存住宅やアパート価格への影響を抑制する新税あるいは新料金を導入すべきか否かとの問題は、新税金白書といった、より広い視野で再考されるべきだというものです。
また、そうした見直しには、海外投資審査委員会(FIRB)による、一時居住者が出国の際、〔条件とされた〕取得不動産を手放さないケースを監視し、処罰する機能への再考が含まれそうです。
というのは、FIRBは、2008年以来、そうした違反のケースを一件も摘発したことがなく、広く批判されてきているからです。2008年に、前政府は、一時居住者を監視する基準を撤廃しましたが、それまでの5年間では、FIRBから同委員会への情報にもとづき、17件の権利はく奪が行われました。
同委員会は、法律に違反し、不当な利益をえた海外の不動産取得者に、重い罰金を課すように求める新たな報告書を政府に提出する予定です。それには、不動産の価値に応じた罰金が考慮されています。というのは、現行の85,000ドルの罰金は、一部の購入者にとっては、オーストラリアでビジネスを行う、“費用の一部”としか見なされていない状況があるからです。
オーストラリア国民の住宅取得の困難性についての問題は、この10月の報告で用いられたデータに再調査が必要とされ、来年3月、大蔵大臣によって再検討されます。
こうした延期は、今回のG20の際に締結された豪中間貿易協定に、微妙な影響をあたえかねない問題であるためです。
一方、オーストラリア社会では、中国人購入者が、オーストラリアの不動産を、財産を隠す海外逃避地として使っているとの懸念があります。
ともあれ、現状ではデータの不足があり、同委員会の主要な提言は、全国を網羅する単一のデータベースの設立と、それと入出国データとを関連付けるものとなる模様です。
資料出所:22 Nov. 2014, Australian Finncial Review