減 「一見さん」、増 「お得意様」

本サイト利用状況の長期分析結果

本『両生歩き』サイトの過去10年ほどの利用状況の推移を、2種のデータを用いて分析してみました。その結果が示す要点は、顕著な成長の4年余りの後、2年間ほどの頭打ち期があり、そして直近2年間の下降という、長期的昇降現象が見られます。その中で、コロナ禍の影響は甚大なのですが、その他方で、訪問者の定着化が見られることです。

そこでまず最初に、2014年末以来の長期的な推移を見てみましょう(図―1)。

〔注記〕縦軸の数字は月総ヒット数ではその百倍が実数値、日平均訪問者数ではそのままが実数値。日付間隔は一定ではない。

 

 上グラフに青線で示す月ごとの総ヒット数の推移は、2018年までの4年間は盛んな増加を遂げています。その伸びが2018年末でピークに達し、2019年中は天井状態を示した後、2020年に入ると、実に急激な落ち込みを見せています。これほどの大きな変動は、その時期からして、コロナによる影響以外は考えられません。

その落ち込みが、同年5月になると逆に大きく回復しています。これは、コロナ対策による「巣ごもり連休」ゆえの突出と考えられ、やや特異です。したがってその反動もあって、その後は2021年1月までの急落を示し、ほとんど5年前のレベルへと舞い戻っています。

一方、オレンジ色で示す一日平均訪問者数の変化は、やや凸凹はありつつ順調な伸びの後、これも、2020年に入ってから、それまでの成長傾向からの顕著な落ち込みがあります。しかしそれは、総ヒット数ほど急激ではなく、さらに同年8月に向けて緩やかな増加を示しながらも、それ以降は、コロナ禍の長期深刻化の現れか、しだいに進む減少傾向を描いています。

ここで、同グラフ上の二種の動向を総合的に分析すると、コロナ以前の2019年において、その総ヒット数の天井化の一方、日平均訪問者数ではピーク形成というやや異なる変動が見られます。そこで、グラフ化はされていない2019年末の3カ月の詳細数値を調べて見ると、この二種が共に減少に転じている動向が見られ、この異なりはグラフのプロット上のアヤといえます。

要は、この辺りで、読者全般に本サイトへの関心離れが生じていた可能性が指摘できます。すなわち、2020年になればコロナ禍の発生を見るのですが、それ以前にすでに減衰は発生しており、そこにコロナの衝撃が加わったこととなります。

言うなれば、2020年前半の大きな「谷」がたとえ無かったとしても、2019年末以降の二種のデータのどちらもの下降は避けられず、この2年間に何かが生じていたと考えられます。

 

そこで、コロナが無くてもあり得た、こうした最近の下降の原因を探るため、この2年間のより詳細な状況を、本サイト中の性質の異なる多数記事を7部門別に分け、その各々の動向をグラフ化してみました。

まず、そうした各部門の絶対数的変化を月別ヒット総数で見てみます(図―2)。

まず、上のグラフの初期、2019年の1月以降、7つの部門のうち二つを例外とした、ほぼ一様な増加傾向があるのですが、これが同年8月を頂点に反転し、それ以降の一様な急落傾向がどの部門にも見られ、これは明らかにコロナの影響と考えられます。そして、その後の変化は、全体としては、緩い下降傾向はありながら、ほぼ安定した状態が見られます。

その中で、黒色線で示す「私共和国」――諸記事中でも最も“日記”的見解を扱った――部門が、2021年1月になって大きく跳ね上がっているのが目立ちます。(これは、今後の推移を見る必要がありますが、ことに力説されている《高齢者の運動効果に関する記述》への反応かと推測されます。)

ともあれ、先の図―1で見たサイト総体への絶対数変動は、2019年を天井にほぼ半減ほどにもなる下落傾向がありながら、この各部門別の下落はそれよりはるかに軽微にとどまっています。つまり、全ヒット数に対する各部門が占める割合は、この下落度の違いを反映して、増加していることが推定されます。

そこで、図―3では、同部門別に、全ヒット数中に占める割合の変化としてグラフ化してみました。

〔注記〕縦軸のパーセント値は、100倍(つまり1,000とは10%)して表示。

 

上の推定のごとく、やはりどの部門のパーセントも2020年半ば以降は上昇しており、ことに「両生空間(灰色線)」や「私共和国(黒色線)」の増加が顕著です。

また、この二者の間に位置する空色線の「エソテリック2部作」の上昇も注目されます。この部門は、私が翻訳した『「東西融合〈涅槃〉思想」の将来性』と『現代の「東西融合〈涅槃〉思想」』の2部作への合計値で、そのヒット増が昨年3月以来着実です。

この着実な増加は、想うに、当2部作が米国人著者による米国社会の暗部を探読みする著作であって、いわゆる「陰謀論」や「ディープステート論」にも踏み込んでその起源や意図を探る論述を特徴としています。それだけに、米大統領選挙をめぐる議論沸騰(あるいはそれを契機とした米国や世界構造の深奥部への関心)が、このように反映しているものと解釈されます。

 

ところで、深刻なコロナ打撃にあっても成長の兆候が確認されるこうした数部門は、この数カ月間に、本サイトの発行人として、新たな柱となるエリアを築くねらいも含めて精力的に取り組んできている部門でもあります。言い換えれば、定着した“ロングセラー”である『天皇の陰謀』(黄土色線)にも代わる、将来的部門を育てるつもりの新分野でもあります。

ついでながら、そうした新分野の最新鋭版が、2020年9月に新規設置したニューサイト「フィラース Philearth」で、やや専門的ながら、視野を、地球や宇宙へと拡大しようとするものです。

 

以上のように、今回の利用動向分析によって、一連の将来への狙いが功を奏している兆しを見出せたわけで、発行人として、その取り組みは外れていなかったと、うれしい結果となっています。

要するに、《“一見さん”が減って、“お得意様”が増えている》、そう言えそうな結論です。

 

なお、本サイトの前身版の創設(2005年)以来の“ビンテージ”部門について、合わせて説明を付け加えておきます。

紺色の「リタイアメント・オーストラリア」は、前身版の名を引き継いでいるように、オーストラリアについての、(ことにリタイア後移住に関連した)基本情報提供と、本記事を含め、本サイト運営に関係する諸記事の部門です。

オレンジ色の「旧両生空間」は、2013年(本サイトの趣旨の再定義の際、合わせてHPのデザインも現行のように改めた時)を境にした、それ以前の諸記事総体の部門です。したがって、その初歩的特徴として、分化以前の何もかもを含んで、そのカバー範囲は総花的になっています。ただ、そうした未成な諸記事の一部が、やはりこの1年半ほど前より、読者のリバイバルな関心を集め始めているようです。

 

 

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