一昨年8月より、本サイト掲載の翻訳『天皇の陰謀』について読者アンケート調査をしてきましたが、その回答が、昨年末時点において、以下のように集計されました。
回答合計は34(男31、女2、NA1)、年齢層は10代から80代まで全般にわたり、加重平均年齢は52歳、そしてその見解もとても多様です。全員が日本国籍者。海外居住経験者は7人。
なお、回答明細は、下に掲載の集計表および自由意見をご覧ください。
また、調査に協力いただきました皆さん、誠にありがとうございました。
この調査結果が明確に示していることは、回答者の3分の2以上が天皇制度の何らかの改変を支持していることです。34という回答数が統計的な意味を持つかとの指摘はあるでしょう。しかし、この調査は、天皇制という日本ではいまだにタブー化されている問題を扱うもので、その禁忌感の合間をぬってこれだけの見解が出てきたということでも、その意味は大きいと考えます。さらに、記入された「自由意見」に見られるように、天皇制に関する情報について、強い不足感、いわば「渇き」が見られることです。
また現社会を見渡しても、先の秋篠宮家長女の結婚問題に見られたように、たとえ天皇家系の一員であっても、人の生き方は――女性だろうと誰だろうと――その人の問題です。ことに制度の枠外を選んだ決心を、いかに国だろうと世論だろうと強要はできないのが基本的人権でありプライバシーです。ところがそれに反しかねない問題が、そのように、天皇制にからんで発生しています(低俗メディアのハレンチ報道がまかり通るのも、そのタブーがつくる暗がりがゆえです)。
さらに視野を転じれば、隣国中国の習近平国家主席の強権にしても、その建て前は独自共産主義制度の維持とされています。だがその実質は、自らをもってしての皇帝制度の復活で、まさに「我こそラストエンペラーなり」との時代錯誤劇であることです。くわえて、彼の行っていることは、100年前の日本の天皇が行おうとしていたことのまさに再現で、当時、日本は自らが「八紘一宇」という世界モデルであると画策し、アジア中に神社を建てました。一方、今の中国は、「一帯一路」というスローガンのもと、自国が世界モデルであると活発に動いています。それが世界的な緊張を生まざるをえないのも、中国の台頭への単なるやっかみより、その過去の亡霊がゆえです。
かつての日本は、その独善のため、世界を敵にし、膨大な犠牲とともに敗れました。加えて、その降伏劇にはさらに裏舞台があり、日米の守旧層の密かな意図により天皇制が維持され、いまだにベールをまとって残存しています。いわばその残滓にふみにじまれている典型が今の天皇家の若い女性たちの人権でしょうし、広くは日本国民のそれです。
読者の大半が、その制度的転換の必要を支持しているというのは、そうした時代の要請から大きくずれた制度が、日本の足をいまだに引っ張っているとの臭覚がゆえの危機感の現れと思われます。
ところで、質問Fの回答のカッコ内数字が現わすように、天皇制支持との回答者の全員が海外居住体験者であるのは興味深い結果です。また、同回答の全般で、海外体験は必ずしも批判的見解の要因ではなさそうです。
遠大ですが、日本自身がその転換の決断をする時、隣国の皇帝制度の復活もついえ、アジアに残存してきた封建的王家制度の残りかすも、ことごとく歴史遺産へと化してゆくものと展望されます。
今や世界には、世襲の避けられぬ皇室のもたらす人材より、公正かつオープンに全国民の中から選ばれた人材のほうがより有益かつ建設的との常識があります。血縁や権威や旧習によってではなく、全国民と選出されたリーダーが相互にチームワークを成して自国を造って行く、そういう時代原則です。そのようにして、一人ひとりの国民のすべての能力が発掘、発揮され、その総力を結集しうる、そうした一致ができるかどうかの問題です。
ところで、別掲記事でも示されているように、翻訳『天皇の陰謀』は、本サイトにおいて長期にわたって底堅く読まれてきている「ベストセラー」です。これも、日本の「渇き」を潤す役目を果たしているゆえであるなら、発行人として誠にうれしい限りです。
また、この読者アンケート調査は、この集計を一区切りとはします。しかし、これをもって終了とするわけではなく、今後も、オープンな意見表明のチャンネルとして存続させ、折を見てその結果を発表してゆきます。
なお、本調査は、過去に二回にわたって途中集計結果が公表されています(一次集計、二次集計)。
読者アンケート調査集計結果
(2021年12月末現在)
自由意見
(記入された全自由意見)
◆私が子供の頃に聞いた昭和天皇と戦争の話は「天皇は戦争に反対だったが、軍部が勝手にやった」というものばかりだった。時代が下ると、少しずつ「新情報」が出てきた。最近では、天皇の権威も大分薄れたせいか、ウェブでは天皇の戦争責任を当たり前のように指摘する意見もよく見る。
だんだん、この本の主張に近づいているように思う。
結局、バーガミニさんが調べたとおりなんだろうと思わずにはいられない。(男、50代)
◆10年位前にいいだもも訳の“天皇の陰謀”を図書館で借りて読んだのですが、自分に現代史の知識が無いため文中の史実や人物像が頭に入らずに読み進むことが出来なくて、途中で諦めてしまいました。
その後、暫くしてネット上の松崎様の訳されたものに出会いました。そして、全ての文章をプリント・アウトして少しづつ読み、今年の8月3日にようやく読み終えたところです。その間、スタンフォード大学の西鋭夫先生のレクチャー・ビデオを聞き、同時進行で勉強致しました。トータルで6~7年位かかりましたがやってよかったと思います。
素晴らしい翻訳文を提供して下さり心より感謝申し上げます。
私は松崎様と同じく1946年8月生まれです。(男、70代)
◆最大の戦犯が無罪だから、無責任がまかり通る国になってしまった。(男、50代)
◆非常に良好な翻訳でたまに訪れては読んでいます。
このような本の翻訳は文化、経済、歴史などの理解が深くないと
とんちんかんになりがちですがとても素晴らしい翻訳になっていると思います。
現在のような日本社会ではこのような著作は出版は不可能であるかとは思いますが、
ぜひ手元に置いておきたいものです。
差し支えなければこの翻訳のまま出版してほしいものです。
私は社会学者の宮台真司やジャーナリストの神保哲生氏のビデオニュースドットコムを
よく見ていましたが、神保氏はアメリカで育っておりその影響からか普段から天皇に対する発言はアメリカチックであり
天皇の陰謀に関しても違和感がなく読めました。
なるほどそうだろうなと思うようなことばかりでした。
大正天皇の箇所だけは全く知らないことが多く非常に興味深い箇所でした。
昭和初期を事実上取り仕切っていた西園寺が知性に置いて大正天皇を評価していたこと、
また現在においては大正天皇は知恵遅れなどと言われていることは
こんにちにおいても大正天皇の存在は非常にアンタッチャブルであったことを示していると思います。
また、アンケートの中にある天皇制の是非ですが、私は理想を言えば廃止すべきだとは思いますが
日本人の宗教観、神がいない国からすればその補完的な役割を果たす天皇制は現段階では必要かと思います。
このような考えは日本人の知識人の中では実は多数派なのではないかとも思っております。
日本人はプラットフォームやルールメイクの発想がほとんどないので
既存の仕組みがなんのためにあるのかわからないことも多いのでしょう
日本人は明治政府における社会の仕組みによる洗脳と
GHQにおける洗脳とダブルの洗脳をうけています
是非はともかくとして、それに気づけないこと自体は一人の人間として悲しいことです
すべてを理解した上で国を運営する政府を選ぶ選挙に望みたいものだと常々思っています
長々とごめんなさい。
高齢だと聞いておりますのでお身体ご自愛ください。(男、30代)
◆戦後蓋をされて来た部分が見えて来たと思います。天皇制・昭和天皇に限らず、「大日本帝国」から自称「平和国家日本」へ劇的変化を遂げる中で、見て見ぬ振りした物が多かったのかなと感じます。その歪をずっと引きずって来ていて、歪があるが故に戦前戦中の体制体質から結局は抜け切れていないと思います。(男、50代)
◆現在20代です。
家系が(養子が入っていますが)平氏で天皇家の子孫となります。
天皇の陰謀に出てきた、平安時代に余った王子たちの子孫かもしれません。
日本人の多くは天皇家の子孫でしょう。
天皇家は日本人の総本山であり、総本家であると考えている。
そのため天皇制には賛成だが、綺麗な手だけでは2000年続かなかったことは確かである。
特に帝国時代に関しては。
しかし、その綺麗でない部分に関して、日本史研究者の多くが
真実に突っ込むことを躊躇われているように、昭和を知らない私には強く感じられていました。
「天皇の陰謀」は素晴らしい著作である。
これだけの著作をものしたバーガミニは偉大であります。
遺伝的に潜在意識・無意識にわれわれ日本人のように皇室への畏敬と恐怖を持たない外国人だからこそ、記し得た大作である。
そしてこれだけの著作を翻訳して、無料で公開している松崎元先生の人間性と力量に
感謝とリスペクトを捧げたい。(男、20代)
◆昭和天皇の呪縛を乗り越えることが、日本人の希望につながると思います。本書は、そのための基本図書になるでしょう。(男、50代)
◆人物名などを精査し、出典からの引用文を充実させて、出版すべき重要な書籍。しかし、現実的には無理だろう。百年後に、評価されるのではないか。(男、40代)
◆大著の全編翻訳(注釈含む)という偉業を成し遂げられたことに敬意を表します。日本を含む世界支配層にとって都合の悪い真実は、常に「陰謀論」等の言葉で貶められ、否定されてきましたが、そのこと自体が真実の正当性を逆に立証すると思っています。「陰謀論:Conspiracy theory」という言葉自体、CIAの考えた造語であることを、最近知りました。「天皇の陰謀」は、既存の翻訳本は絶版ですし、完全翻訳版でもありませんので、貴殿の翻訳版webサイトは、永久保存のアーカイブ化必須だと思います。(男、50代)
◆このようなサイトがあることに感謝します。絶対に消さないでください。(男、60代)
◆日本人として知っておきたい自国の歴史。読者はそれを発見することになるでしょう。
ただ、作者の想像の部分と事実の境目が曖昧な印象を受けました。詳細過ぎて読み進めるのには苦労するでしょうね。(男、50代)
◆日本人の誰もが読む必要のある本だと思います。
「著者から読者へ」を読むと意図がよくわかります。
残念ながら片眼が緑内障の為、機械音声にて読書、結果あまり進捗しません。
YouTubeのチャットで出すと、ああ あの陰謀論の本か、となります。
翻訳の一部分をツイッター上に音声動画(2分20秒)として挙げることは可能ですか?
著作翻訳者とこのブログ主様は同じ方ですか?
最近、バーガミニ氏が53才で亡くなったと知りましたが本当ですか?
色々と失礼しました。
ありがとうございます。(男、60代)
◆かなり読みづらい箇所がいくつかあり天皇の活動が掴みきれない所があったが、サイパンの民間人玉砕が天皇の意によっておこなわれたことは衝撃だった。(男、10代)
◆以下、希望事項を記載します
・より見やすいページへの改定:例えば各段落での出来事をあらわす写真、挿絵、重要事項の太字や赤文字の使用など
・各年代の諸外国の動向を対比させる:1929年世界恐慌と高橋是清による急回復(226はこれを潰すことを画策したスパイの仕業疑惑)、ABCD包囲網等日本が追い詰められていることを背景とした昭和天皇の動向、等々
・これら挿入部を正確な翻訳文とは色分け・段落分けなどで同時掲載 (男、40代)
◆天皇裕仁についての貴重な研究資料を提供いただき感謝しています。
明治維新以来、西洋悪魔教の支配下にある日本国政府が擁立する皇室は、太田竜先生の啓蒙活動によってカバール・イルミナティ・サタニストの日本殲滅計画を遂行するためのアセット(資産)であり、属国支配の傀儡であることが明らかになっています。
『天皇の陰謀』は、上記を証明する資料として貴重な書物ですが、現在、『天皇の陰謀』の全訳は手に入りにくく、貴サイトは貴重な資料ですので、末永く読めるように配慮いただきたい。
下記、太田竜の講義録に記サイトについて述べられています。
https://www.youtube.com/watch?v=s7iuaJLWP7M (男、70代)
◆なぜこうなっているのか腑に落ちた感じが強い。(男、60代)
◆天皇制もう止めるべきと思います。民主主義国と言いながら、生まれながらの特権階級があるなんて、誤魔化しですね。まして、憲法も守らない天皇一族、とんでもないです。(女、60代)
◆ありのままの全体小説(野間宏–青年の環)を読んだ時のように、かじりついて、咀嚼に時間をかけ拝読させて頂いております。ブログも愉しみに拝読させて頂いております。発信ありがとうございます。(男、60代)