前立腺ガンを患って(私の健康エコロジー実践法 =実遭遇編= 参照)いろいろ調べているうちに、自転車乗りが股の鼠蹊部を圧迫することから、このガンにはよくないエクササイズだという見解に幾度か出くわしました。
確かに、長時間乗っていると、鼠蹊部がしびれるように感じることはあります。また、圧迫を少なくする穴のあいたサドルも開発されています(私も使用中)。
ただ、私の調べた限り、自転車乗りと前立腺ガンとの関係を厳密に実証した研究は見当たりません。しかし、そういう見方が出されるのももっともなところはあります。
そうではありますが、私は相変わらず、その後も自転車通勤を続けています。
というのは、そういう弊害はあるとしても、また、そうした圧迫を減らす乗り方は可能でもあって、その利点の方がはるかに大きいと受け止められるからです。
昨日の金曜日も、店はとても混んで、仕事を終えて店を出たのはもう11時に近くなっていました。もうそんな時間となれば電車の本数も減り、乗り継ぎの便も悪くなります。案の定、乗換えに僅かに遅れて、やむなく、次の電車を待ってそこで30分ほどを過ごすより、夜中の道を30分弱、走ることとしました。
ところが走り出してみると、昼間の風もなぎ、雲の合間からはやわらかな月明りか差してきて、また道中、夜でもさえずる鳥がいるのを発見しつつ、それは実に快適なライドでした。
そしてその何よりもの恩恵は、仕事を終えた時に体に充満していた重たい疲労感が、この30分ほどの運動でみごとに消え去り、爽快な疲れに変わっていることです。
私の信じるかぎり、この恩恵は弊害分を差し引いたとしても、おおいに余りあります。運動で得られた血流増が、体内、ことに脳内の疲労物質を洗い流してくれたようであるのは、確かな“臨床的”実感です。
こういうわけで、私は、前立腺ガンからのひとまずの回復をした後も、自転車通勤を止めようとは、とうてい思えないのです。