「健康維持運動」から「健康スポーツ」へ

楽しいという《超‐良薬効果》

老人学ー序論(その2)

この欄を「老人学」と分類しているが、この「老人学」との名称は好みではない。検索対策として、通用度の高い用語としての使用である。したがって、この先の発展しだいでは、別のふさわしい用語を使いたいと思っている。

ともあれ、そうした分野において、前回で触れたように、健康志向が老化予防に効果的との見方が広がり始めている。

今回は、その「健康志向」をもっと進めて、「スポーツ志向」の領域が射程に入ってきたという話である。

老人に限らず、健康からスポーツへの流れは、もっと若い時代からもあることだ。あるいは、その方が中心である。言わば、それを老人問題にも適用しようということでもある。

実は、こうした「健康とスポーツの境目」といったことに着目するきっかけとなったのは、別記のように、VO2maxというスポーツ医学用語に出会ったことがある。

このVO2maxとの概念は、スポーツ能力の指標として使われているのだが、同じ健康でも、より高い成果を出せる健康度としての指標である。

だが、老人学においてのこのVO2maxの使い道は、いわば、老化防止とVO2maxとの関係である。

そこでだが、この老人学の領域においては、VO2maxは高ければ高いほど良いというものではなさそうである。

私の体験でも、負荷の高いきつい運動をした後は、それこそ疲労困憊で、ものを考える余裕さえなくなっている。つまり無理をした状態と言ってよく、それが健康増進に良いとは到底考えられない。

つまり、老人学の観点では、VO2maxはほどよい高さを維持することがいいのではないかと判断される。

また、スポーツ医学は、それこそ、高い身体能力を出すためのもので、ある意味で、精神能力は排除されている。

ところが、老人学では、たとえば認知症防止という目的をあげれば、これはほぼ完全に脳の働きの問題であり、精神能力分野の話である。

となれば、VO2maxに代わる、脳の働きを効果的にする方法や指標の開発が必要となってくる。

ゲームを使った脳トレといった方法も採用されているが、その効果に疑問を呈する向きもある。

こうした面では、社会性とか、好奇心とかと、漠然としてはいるが、一定の方向は出されている。だが、まだまだ、指標となるまでの定式化には長い距離がある。

ともあれ、老人学の細目分野として、健康とスポーツの両域をカバーし、しかも、身体と精神・心理の両面をもカバーする、二重両属医学が必要だ。

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