『苦海浄土』と『Modern Esoteric』の共通性

〈連載「訳読‐2」解説〉グローバル・フィクション(その73)

今年2月、水俣病を「わが水俣病」として書いた『苦海浄土』の著者、石牟礼道子さんが亡くなられた。水銀中毒におかされた郷土や海を、「生類(しょうるい)のみやこはいずくなりや」と歌い、破壊された「いのちの連鎖」つまり「生類のみやこ」の尊さを私たちに問うた。

「非-健康産業(その2)」の今回、そうした水銀中毒ばかりでなく、アルミニウムや他の重金属、そしてあまたの化学物質の有毒性の危険が述べられています。そして、どうしてそうした毒が薬として販売されることがまかり通っているのか、そのからくりについても。

あるいは、インフルエンザの予防注射について、それをした人の方が、しなかった人より、いっそうインフルエンザに感染したとの研究結果があるという。いったい、何のための「予防注射」なのだろう。

本章のほぼ末尾に、以下のようなくだりがある。どの国にも共通する、今日的光景のようです。

私たちが手をこまねいて何もせず、誰かが私たちの最大の利益、幸福、安全そして健康を守ってくれる十分な責任を負っていると思えば思うほど、私たちはますます快適なソファに居座ってTV番組の「アメリカン・アイドル」に見入りながら加工食品で夕食を済ませ、ますますメディア企業によって私たちの頭にねじ込まれる宣伝を鵜呑みにし、そしてますます企業や政界の心理操作が私たちの心を奴隷にして惨めな生活に追い込まれても、私たちはそれを許していられるようになる。

それでは、「非-健康産業(その2)」へご案内いたします。

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